和田誠さんの訃報を知りました。83歳とのこと。お悔やみ申し上げます。
私が和田誠さんのイラストに魅せられたのは、星新一さんのショートショートに添えられたイラストが最初。角川文庫の『きまぐれロボット』の表紙でした。高校時代、ショートショートにはまったのも、このイラストのおかげかもしれないと思うほど、印象に残っています。
シンプルで優しいラインで過不足なく描かれていて、どこかユーモラス。フリーハンドの直線にも独特の個性があるように思われました。高校時代にも真似をしてみたのですが、似せることはできても、やはり雰囲気が違っているように感じました。ラインがシンプルな分、真似やすいというわけでもないですね。この記事を書くにあたって、パソコンを使ってイラストを再現してみましたが、私が描くと、どこか硬いのです。線一本の柔らかさでも印象が違って見えます。
この『きまぐれロボット』で和田誠さんを知っていなければ、講談社文庫の『マザーグース』(全4巻)も買わずにいたかもしれません。表紙のイラストを見ただけで、飛びつくように手を伸ばしたのは、和田誠さんのイラストだったから。塀の上に座るたまごのみたいなおじさん、がちょうに乗ったおばあさん・・・。衝動的に買っていました。いろんな意味で運命的な出会いをした本でした。(紛失してしまったのが本当に悔やまれます。)
高校卒業後には、映画『麻雀放浪記』が公開され、和田誠さんの監督作品ということもあって、映画館に行きました。印象に残るシーンもたくさんあるのですが、中でも流れ星のシーンが好きです。和田誠さんらしさか特に感じられたシーンに思えたからです。
たくさんの素敵なイラストや映画等の作品群を、ありがとうございました。