tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

映画32.『勝利への脱出』(1981年)サッカー映画の成功は難しい

先日、高校時代+予備校時代に観に行った正月映画(12月〜1月)を記事にしました。

高校3年間で5回、予備校1年間で5回。よく観に行ったのは予備校時代だったと言う話。

 

映画の評価とストーリー

『勝利への脱出』を観た当時、高1だった私は大絶賛して、サッカークラブの友人にも、観に行った方が良い、感動する、映画史上最も成功したサッカー映画だ、シルベスター・スタローンの格好良い、ペレの技が光っていた等、かなり番褒めまくり、推奨した作品です。

 

私の高1の頃は、クラスの中ではネクラを自覚していて、サッカーの話もあまりしなかったです。サッカークラブでは中学時代からの友人もいたので、少しは話しやすさもあって、熱く語ったのでしょう。

 

ストーリーは、ドイツの捕虜になった兵で寄せ集めのサッカーチームを作り、ドイツ兵のチームと大観客の中で試合を行い、隙を見つけて脱走を狙うというもの。

 

展開もわかりやすいです。

ドイツ軍からサッカーの親善試合を提案され、捕虜のリーダーがこれを了承し、メンバーの人選の裏で大規模な脱走計画も進められます。アメリカ軍捕虜のハッチ(S・スタローン)は一度脱走して、外部との連絡を取り、収容所に戻ってきます。その後、捕虜チームの正GKを了解の下に骨折させて、ハッチを正GKに据えます。

 

ハッチ(S・スタローン)はアメリカンフットボール経験者という設定。1980年代、アメリカでサッカーはそれほど人気のあるスポーツではなかったので、あまり経験がなかったのではと思われます。当初は、GKがゴールを決めるアイデアもあったそうですが、さすがに非現実的と判断されたとのこと。

 

試合は、ドイツ軍のプロパガンダもあって5万人の観衆が集まります。試合は捕虜チームにけが人が出る等不利な展開となり、ドイツ軍チームに1-4で前半が終了。試合前の計画では、ハーフタイムに脱走する手はずでしたが、捕虜チームはこのままでは終われないとサッカーの試合を続けることを決意して、続行。後半、4-4に追いつきます。試合終了直前、ドイツチームに有利な判定をしてPKを与えますが、GKハッチがこれを阻止。同点での終了に大観衆が興奮して、ピッチに流れ込み、その混乱に乗じて脱走に成功するのでした。

『勝利への脱出』ポスターのイメージ

史実

勝利への脱出 - Wikipedia によると、

本作は1942年8月に第二次世界大戦下のウクライナで行われた、ディナモ・キエフの選手を中心に編成された「FCスタルト」対ドイツ空軍の兵士により編成された「フラッケルフ」との親善試合(死の試合 )をモデルとしている。

とのこと。そして、

史実では2試合が行われ5-1、5-3とスタルトの勝利に終わるが、面目を潰されたドイツ軍は報復としてスタルトの選手達をバビ・ヤールなどの強制収容所へ送り、多くの選手達が処刑されている。

とも。

 

映画では、サッカーの試合途中、ドイツ軍チームによるルール無視の暴力行為が頻繁に映し出され、腹立たしさを感じましたが、現実は試合後に命を奪われた選手が多かったというさらに悲惨な結末を迎えたと知りました。

 

その後の評価

映画を観た当時は、ペレのオーバーヘッドキックのシュートがダイナミックに映し出されるなど、その頃には試合中継では見られなかったプレー映像が強く印象に残りました。また試合中のドイツチームの反則は酷いものでしたが、それにもめげず懸命にプレーする捕虜チームが同点に追いつく展開にも、感激していました。

 

でも、時間が経つにつれ、この試合展開やプレー内容、脱走計画が、大味に思えてきます。今となっては、個人プレーが強調され過ぎという印象です。というか、サッカーのペレを始めとした有名な選手や元選手のスーパープレイとS・スタローンのヒーローぶりを演出した映画だった気がします。

 

それはそれで、有りでしょう。ただ、今は、試合の中継技術も格段に上がり、国際試合の生中継でも選手の表情までしっかり見えます。それに慣れている人が多いだけに、かつてほどの感激も得られにくくなったのではないでしょうか。

 

映画は公開当時の評価と後の評価に違いが出ることは珍しくありません。

1981年と言えば、S・スタローンは、ロッキーシリーズ(1976年~)が成功する中、絶大な人気がありました。その影響もあるのでしょう、『勝利への脱出』は大ヒットと言えず、彼の代表作にも入らないでしょうが、サッカーを題材にした映画は大ヒットしないとも言われる中で、一定の健闘をした気はします。