tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

近況58.子どもがいる病院の風景

診察室の前から見た中の様子

今日は父のCPAPを処方してくれている耳鼻科の病院に付き添いました。いつものように列車で向かいます。予約していた上、来院者がいつもより少なかったようで、流れもスムーズ。程なく、診察室の前で待機するよう言われました。

 

診察室は曇ガラスに覆われているので、顔などはわからないものの、ぼんやりとどんな人が何人いるか程度のことは、覗い知ることができます。紫の制服らしいのを着た人が2人、ピンクのを着た人が1人、診察席に1人、白衣の医師が1人。大人が5人も居るようです。複数人の介助が必要な人がいるのか、何かトラブルでもあったのか−−。

 

と思っていると、それまで隠れていた小さな影がちょこちょこと動いて診察室から出てきました。まだ小学生にもならないくらいの子どもです。その子につくように、ピンクの服の看護士さん?助手さん?(多分、後者)も出てきました。診察室の中では椅子に座ったままの人がいます。恐らく、出てきたのは、その人の子どもなのでしょう。

 

子どもがいる病院の風景

普段なら、父の通う時間帯で子どもを見かけるのは珍しいのですが、学校も冬休みに入り、平日に時間の都合をつけやすくなったのだと思われます。病院に入った時も、別の子どもの泣き声が聞こえていました。

 

私も小さい頃、よく耳鼻科に通いました。中耳炎だったり、鼻詰まりがひどかったり。耳や鼻、喉の奥に医療器具が入っていくのに抵抗感があり、泣き出しはしなかったものの、我慢の時間でした。「痛くない、痛くない、ちょっと冷たいだけ」と自分に言い聞かせていました。でも、器具の先端が穴の奥で触れるだけでびっくりして、体が反応してしまいそうになるのですが、体が動くと穴の奥で器具が暴れたように痛みが増すので、それに堪えていました。

子どもがいる病院の風景

そんなことを思い出していたら、ピンクの服の助手さんが、子どもをほめながら、「さあ、どれにする?」とキャラクターのシールをたくさん机に広げていました。多分、親子で受診に来て、先に診察を終えた子どもは、そのご褒美にシールをもらえるのでしょう。その子は悩んでしまった風でなかなか決まりません。そうする内に、親の診察も終わり出てきます。お父さんでした。そしてすぐ、子どもの所に行きました。

 

父の診察

その入れ替りで父が呼ばれ、私も一緒に診察室に入りました。父のCPAPの使用履歴を見せてもらうと、満点に近い感じで正しく装着したまま眠れていたようです。父が少しふらつきが出ることがあると話をすると、案の定、医師から急に寒くなったり暖かくなったりしてるから、そうなりやすいですねとのこと。病院に行く前、私も同じことを話しましたが、父から「寒いのは関係ない。」と突っ放されました。でも、医師の話だと「ああ、なるほど、そうなのですか。」と聞き入れます。その父の反応も案の定でした。あまりいい気はしませんが、父が納得したなら、病院に行った甲斐があったということだと思うことにしました。とにかく、それほど心配する状態ではなさそうで、一安心です。

 

診察室を出て

父の後について診察室を出ると、丁度、先ほどの子が「じゃあ、これ!」とシールの結論を出したタイミングでした。そして、ピンクの服の人がシールを片付け始めた時に、どんなシールなんだろう?とちょっと覗き込んだら、後ろから私にも「1枚いかがですか?」と声がかかりました。「え?」と振りむくと、顔見知りの看護師さんです。「こっちの方にあるのは、ガンダムですよ。似た世代ですよね?」と言われて、ガンダム好きの私は、つい「これ、手作りですか?」と聞いてしまいました。

 

市販の物で、今の子どもにも幾らかの人気はあれど、それを選ぶ子は少ないらしく、なかなか減らないとのこと。なにしろ、40年以上前のファーストガンダムもありましたから、欲しがらないのもわかる気がします。私なんか、未だに「これが連邦軍の新型モビルスーツの威力なのか?!」なんて台詞を思い出す訳です。40年も経ってるのに今更、新型でもないだろう?って突っ込みをされると、ムッとしてしまう訳です。そのくらいの思い入れがあるので、シールが欲しくなかった言えば噓になりますが、やはりそこはお断りしました。

 

気になったこと

話が逸れました。

病院を出て、薬局に入っての待ち時間で、ピンクの制服の看護助手さんのことを考えていました。当初は、丁寧に子どもに対応する様子を微笑ましく見ていたのですが、やはりそこは今どきの病院で、周りは何かと忙しそうに見えました。子どものお父さんの診察が終わって、その次の私の父の診察が終わってもなお、子どもの相手をしていたのでは、快く思わない人もいるのではないかと気になってしまったのです。後で、患者の気がつかないところで何か言われるかも?とちょっと心配になりました。

 

私の気にし過ぎかも知れません。でも、あのタイミングで、顔見知りの看護士さんから「1枚いかがですか?」の声掛けは、急いでシールを片付けようとしていた看護助手さんへの「慌てなくてもいいよ」との意味を込めたフォローだったような気がしてきたのです。否、もしかしたら、忙しそうにしているところにひょっこり首を突っ込んだ私への「急いでるところに首を突っ込まないで」との戒めだった気もします。

 

だとしたら、それを察することなく「手作りですか?」と聞いた私は、愚かでした。更に、看護士さんから今の子があまりガンダムのシールを選ばないとの話を聞いて、しつこく「ガンダムのシリーズはその後、長く続きましたからね。ファーストガンダムは…」と話を続けたのですから、愚の骨頂だったでしょう。「そうなんですね」と話を終わらせるべきだったと恥じ入ったのでした。結局、適当なところで、看護師さんからの「そうなんですね」で話を終えています。

 

病院の雰囲気

これもまた勝手な想像ですが、忙しい中でも、患者にふっと声を掛けられる看護士さんは、病院内に穏やかな雰囲気を作り出している気がします。父がCPAPの装着に慣れ、ようやくよく眠れるようになった頃に、私を労ってくれたのと同じ看護士さんでした。

「それが眩暈にもいい影響を与えたのかも知れませんね。」と言ってくれて、気づきました。私はこの台詞を誰かに言って欲しかったのです。CPAPに慣れるまでの苦労が報われたような気がして、少し胸が熱くなりました。

 

今日はつい、余分なことをしてしまったのかも知れません。でも、ちょっとした声がけで、病院の雰囲気が違って感じられることもあるよなぁ、と一人勝手に、看護士さんのナイスアシストに感心したのでした。

 

 

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