tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

遊び64.渋滞吸収走行 2秒、3秒の車間時間が鍵

渋滞吸収走行を考える

適切な車間距離

ずいぶんと間が開きましたが、以前の記事の続きです。

前回の記事内容を少し紹介します。

 

ある区間内に一定数以上の車が入り込むと、どうしても渋滞は起きてしまいます。しかし、車がそれ以下の場合でも、不適切な車間距離やスピード、ブレーキが原因で渋滞が起きることがあります。例えば下の図で、青信号に変わった直後に6の車が進んできたとき、aでは渋滞に巻き込まれますが、bだとブレーキをかけることなく進むことができます。適度な車間距離やスピード等によって渋滞を回避できる場合があります。

aは渋滞となるが、bは渋滞にならない

信号が多いと渋滞が増えると思われがちですが、場合によっては渋滞を緩和する効果もあるとわかります。こうしたことから、一定の条件下(特に車間の維持)で、適切な走行をすれば渋滞を一定程度解消することも可能ですが、そう簡単でもありません。

 

同間隔同速度の維持は難しい

ここからは最近知った高速道路の話です。一定区間に限度以上の車が入る場合は無理でも、ある工夫で渋滞を回避できる場合があります。

 

こんな話があります。

もし、車が電車のように連結されていたら、渋滞は起きない。

当たり前に思いますが、蒸気機関車のSL等(動力集中法式)を思い出すと、車両が多い場合には、先頭車両が走り出しても、後部車両が動き出すまでにはしばらく時間が必要になります。対して、電車方式の新幹線等(動力分散方式)では、各車両が動力を持っているのでスムーズな発進が可能になります。各車両が動力を持っていることは渋滞解消に大事な要素です。

 

では何故、車は電車のように連なって動くことができないのでしょうか。自動車のCMで、同間隔同速度を維持したまま車が前後または左右に並んで走るシーンを記憶している人もいると思います。卓越したドライバー同士なら可能でも、全然知らないドライバーを信頼して、同間隔同速度を維持して発車やカーブ走行ができる人はいないでしょう。同間隔同速度の維持は意外と困難です。

 

同間隔同速度が崩れる場所

最近は自動運転が注目され、一定の条件下では前の車を同間隔同速度で追尾する機能も登場しています。これも渋滞縮小の期待はありますが、1台前の車を追尾するだけでは渋滞を回避できません。どうしても同間隔同速度が崩れてしまう場所があるからです。必然、そこで渋滞が発生しやすくなります。渋滞になりやすい場所を3位から見てみます。

 

3位 合流部(出入口やジャンクション、車線減少によることが多い)

本道に進入する際、安全な車間が確保できなければ、停止せざるを得ない場合もあります。また、走行車のスピードがばらついていると、進入できる空間が狭くなってしまうこともあります。

 

2位 事故

事故が起きると、その車線は通れなくなります。通行不可が複車線の場合、対向車線まで及ぶ場合もできてしまいます。車の事故だけでなく、ケースとしては少ないですが、トンネルの崩落や地震で段差や陥没ができる等もあります。

 

1位 坂道(特に、下り坂から上り坂になる場所、サグ部)

以前なら、高速料金の支払いや高速道路通行券の受取による渋滞が一番の理由でしたが、ETCが普及した結果、ほとんどのインターチェンジで渋滞が解消されました。現在、高速道路の渋滞で一番の原因は、サグ部で起こる渋滞になっています。

 

サグ渋滞

サグ部とは、下り坂から上り坂になる部分です。

下り坂は、スピードが出やすくなりますが、アクセルを同じように踏んだまま、上り坂になるとどうしてもスピードが落ちます。その際、すぐ前に車がなければ、自分の車が減速していることに気づきにくいです。

そこに、下り坂のスピードに乗った車が近づけば、すぐに車間が詰まってしまい、ブレーキを踏むことになります。そして、そのブレーキを見た後続車も、連鎖的にブレーキを踏むことになり、渋滞が発生してしまいます。

サグ渋滞が発生する仕組み

坂を下る車と坂を上る車との速度差が大きい程、また、二つの車の車間が短い程、強いブレーキが必要になり、渋滞が発生しやすくなります。

 

渋滞吸収走行

このサグ渋滞の仕組みを逆に利用すれば、渋滞を解消することができます。

図にするとこんなイメージ。黒い車列が渋滞吸収走行中です。

渋滞吸収走行

kurukura.jp

記事では、2009年6月に、2車線に4台ずつで計8台の「渋滞吸収隊」を結成して走行実証実験を紹介しています。実験場所は渋滞で知られる、中央自動車道の「小仏トンネル」。結果、車列最後尾4台目の車は、平均速度が渋滞を感じる時速40kmを上回ることができ、8台の車の走行で渋滞を解消したそうです。

 

結論を引用しておきます。

 「渋滞吸収走行は」、渋滞に加わる車の数を減らすための走り方。あらかじめ十分に車間距離をとって走行し、交通量が増えてきた時点で速度を抑え、車間を詰めすぎないように走ることである。この車間距離がクッションの役割をはたし、前の車が大きく減速しても、速度を保って走行できる。実証実験の結果から、渋滞吸収走行をする車が複数いると、後方の車ほど、減速をせずに済むことが分かる。

 

2秒、3秒の車間距離

先の図では車間距離を40m以上としていますが、高速道路を走っている際に時速30~50kmで40mを保つのは間の抜けた走りに感じるでしょう。また、渋滞もなく時速80~100kmで走っている時に、車間が40mだと詰め過ぎでかえって危険です。さらに、一般道より広くて見通しの良い高速道路では、車間距離確認区間ならともかく、見た目の感覚で車間距離を維持するのは容易ではありません。

 

高速道路の適度な車間距離については諸説ありますが、良く知られているのは二つ。

1.時速に合わせてmで換算する方法

時速80kmで走行するなら車間は80m、時速100kmなら車間は100mを目安にするものです。ただ、運転手の感覚として間を空け過ぎと思う人も多い様で、車間距離確認区間に差し掛かっても気にせず車間が狭いまま走る車もよく見かけます。

マメ知識として、高速道路の走行車線と追い越し車線の間にあるレーンマークは、白線の長さが8m、白線の間が12mで、合計20mです。。前の車まで、白線が4つきちんと見えていれば、80mくらい、5つ見えていれば100mくらいという目安になります。ただ、走り慣れていないと目で数えるのは意外と難しいです。

2.2秒、3秒の車間時間

実感として把握しやすいのは、前の車がいた場所に自分の車が到達するのに何秒かかるかです。目安としては、一般道路(時速60kmまで)なら2秒、高速道路(時速80km以上)なら3秒です。

今回、下調べで見つけた、こちらのサイトがとてもわかりやすいです。

global.honda

画像は、上のサイトから。

車間時間の目安

写真は静止した状態になりますから、これだと車間が広すぎと感じる人もいると思います。でも、実際に時速100kmで走れば、視界はかなり狭まって見えることにも留意する必要があります。

 

前の車が通り過ぎたばかりの白線や、標識、分岐点などを目印にして、そこを自分の車が通り過ぎるまでに何秒かかったかを数えます。

 

ただ、運転中は秒数を早く数えがちです。私は「1、2、3」と数えるのではなく「1っと、2っと、3と」と「っと」を入れて数えています。上のサイトでは

ポイントはゆっくり01(ゼロイチ)、02(ゼロニ)と数えること。「ゼロ」を付けないと早すぎるのでご注意を。

と紹介していました。

 

心理と真理が真逆に

渋滞で有名な場所があると、早めにその場所を通り過ぎておきたいという心理が働きやすいようです。しかし、たくさんの人がそうした行動に出ると、逆に渋滞の始まる時刻は早まり、一層大きな渋滞を引き起こす原因になりかねません。

 

急ぎたい心理が、却って渋滞をひどくさせてしまうという真理。

急がば回れ」とはよく言ったものです。

 

渋滞事情の変化

最近では、帰省の分散も定着しつつあり、以前より大きな渋滞は減っているそうです。

もっともそれ以上に、運転手の絶対数が減ったこと、運転手の高齢化で長距離運転が減少傾向にあること等の方が大きく影響している気もします。また、煽り運転や暴走運転に対する批判の高まりも関係しているかも知れません。

 

とりあえず、今、私が気をつけている渋滞対策は二つ。

  • 渋滞の起きやすい場所と時刻はなるだけ避ける。
  • それができずに渋滞が予想される場合は、渋滞が起きにくい十分な車間時間(2秒/3秒)と、なるだけ減速(理想は時速40km程度ながら、実際は60kmくらいになってしまう)を心掛ける。

とはいえ、自分の車だけが車間時間を意識しても、渋滞はまず解消されません。一台の車の減速運転で緩和される渋滞は、せいぜい数秒分にしかならないでしょう。渋滞情報や、工事の案内を知って減速しても、追い抜いていく車や無理な割込みは多いです。前が空いているなら、なるだけ車間を詰めるべきと考える人はまだ多いと思われます。

 

渋滞対策をする意義

それでも、渋滞対策を意識しての運転には大きな収穫があると思っています。一番は運転中、イライラすることがかなり減ること。急がないと渋滞に巻き込まれると思ってしまうと、赤信号や道を折れる際の歩行者の列等に、つい平常心を失いがち。さらに、雨天時に車の流れが変わる等を予測できずにいると、思わぬ渋滞に怒り心頭になってしまい、事故の危険は一層高まりそうです。

 

科学雑誌で見つけた渋滞のメカニズム記事に高校時代は半信半疑でしたが、今は納得しています。どうしたって、道路を無理なく走れる車の量を超えた場合、必然渋滞は起きます。そうなる以前に、道路を走る車の密度が偏らないようにするのが、精一杯の渋滞対策です。適度な車間距離、2秒、3秒の車間時間を皆で維持するのがその方法。そんな中で、自分だけが急げば渋滞は回避できるとは無理な話。急ぎたいと思う心理が蔓延するほど、渋滞は酷くなります。

 

何だか、利益追求に走る経済の話にも通じそうに思えます。富の集中は却って、経済の流れを阻害してしまう。偏りを少なくすることで流れがスムーズになる。一人ひとりに適度な量を保障することが大事。

え?話が飛躍し過ぎですか?

でも、渋滞も経済も、最低限のルールやマナーの周知徹底は有効だと思います。

 

 

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