tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

近況50.2023年、紅葉狩り

今年も父と紅葉狩りに行ってきました。

 

去年の失敗

去年の紅葉狩りの記事はこちら。

去年は、父が新聞に紅葉の記事を見つけた朝早く、突然、「今日行こう。」と、まだ寝ていた私は無理矢理起こされてました。でも、まだ紅葉が始まったばかりで、「来るのが早過ぎた」と嘆いていました。

まだ早い

そのせいか、紅葉の見頃との記事が出ても、行こうとは言いません。私から声をかけても、まだ早いと言います。見頃はその場所の標高や気温の下がり方で変化します。今年行きたいと言っていた場所は標高570m程。去年行った場所は標高910m程。ですから、まだ見頃には早いと考えるのも間違いではなさそうですが、大きな違いは、去年は見下ろす場所で、今回は見上げる場所。渓谷を囲む標高1000m級の多くの山々を見上げるのです。

 

父は紅葉を見に行けそうな日に、カラオケの約束や病院の予約を入れたりして、そろそろ出かけた方が良いという私を無視するかのよう。「去年は行くのが早かった。今年は去年より暑いからもっと遅いはずだ。」と言うのです。今回行く場所は、母の生前には二人で何度も出かけていたこともあって、自信たっぷりです。私も父を強引に説得して行く程、その場所に詳しいわけではありません。

 

結局、11月に入ってから行くことになりました。

 

落胆と奮起

紅葉狩りに向かう途中、父は助手席から山の景色を見て、来るのが遅かったと悟ったようでした。それでも、久しぶりに訪れるのが楽しみだったようでした。駐車場までの案内も自信たっぷりです。

 

車を降りると、既に覚悟はしていたようで、「さすがに遅すぎたな。」と一言。それでも、去年は紅葉した木を探そうともせずに帰ろうと言ったのに比べ、今年はトイレを済ませると、どんどん先を歩いていきます。去年より落胆していない風でした。

 

でも。営業していると思っていた休憩所が休業日になっていました。以前なら、紅葉シーズンは平日も営業していたそうですが、今年は、土日祝日のみになっていたのです。父は、改めて駐車場にある車を見て、これだけしか車がないなら仕方ないかと言っていました。かつては平日でも車が多く、駐車場から展望台や吊り橋までの道は人の列が続いていたそう。

 

さすがに、父は落胆した風でした。私が別の場所に行ってみようかと提案すると、気を取り直し、以前よく行った場所まで歩いて行くと奮起。実際、山の上の方の紅葉はだいぶ終わっていましたが、駐車場から続く道端の木はそこそこ紅葉していたのも、奮起に繋がったのかも知れません。

駐車場付近

道の下に渓流があり、道から下の眺めはそれほど悪くもありません。

道から下を望む

ただ、やはり一番見応えのある山の風景は寂しさが漂います。なるだけ見栄えの良い山を写真に撮りましたが、こんな感じでした。

道から山頂を望む

目前の紅葉のような鮮やかさが山頂まで続いていたら、さぞ見応えがあっただろうなと思う景色でした。

 

吊り橋はあるか

本来なら見晴らし抜群の展望台まで歩いて来て、またもや父が落胆。かつてなら、展望台近くにも店があったそうですが、跡形も無いという話でした。駐車場からここまで、20分くらいは歩いたでしょうか。父は、もう帰ろうかと言いつつ、渓流に降りる道を探していました。橋が今もあるかどうか気になるようでした。

 

ここまで、父は山の紅葉、休憩所、展望台近くの店と期待を裏切られ続けた格好です。道端の紅葉がわずかな救いでしたが、ここまで歩いて来たのですから、せめて渓流近くの橋は見つけたいと思いました。店が無くなっていたせいか、降り口がわかりづらく、しばらくうろうろ。下に降りられそうな所を見つけては、私が小走りでその先を確かめていました。

 

そんな私に遠慮したのか、父は「もういい。橋も無くなったのかも知れない。」と言い出します。「まあ、もう少し探してみよう。」と私が粘ります。行き止まりになっていた道を戻り、もう一つの分かれ道へに行くと、下に階段が続いてるのを発見。ここが降り口かも知れないと、父を呼びました。「そうそう、こんな階段」とのこと。早速降りてみようと、階段を少し進んみ、道を折れたところで、私が怯みました。そこから先は思いの外、きつく長い階段になっていました。無事降りて戻ってこれるだろうか、不安がよぎりました。

 

父、再び奮起

申し訳なく「降りるのやめておく?」と聞くと、「まぁ、ゆっくりだったら降りれるだろう」と父。手すりを使いながら慎重に降りることにしました。ところが、幾らか降りて、途中息を整えるために休憩していると、「こんな道だったかなあ?」と言い出すのです。

 

さすがに、この急な階段を小走りに降りて、先を確かめて戻ってくるのは、大変かなと躊躇しました。また、こんな場所に父を一人置いて行くのも心配です。ちょっと足を滑らせたら、一気に転がり落ちそう。

 

と、そこへ、下から上ってくる人がいました。声をかけてみると、確かにこの下には橋があるとの話。この道で間違いなさそうです。

「行くか。急がなかったら大丈夫だろう。」

と父、再び奮起。

私が先に進み、滑りそうな所、段がきつい所など父に伝えながら降りていきました。

ゆっくり進む、父と私を軽々と追い抜いていく人もいましたが、意に介さず、一歩一歩降りていきます。

 

ようやく、吊り橋に到着。

かなり揺れる赤い橋でした。橋から下を見ると、吸い込まれそうな気がして、私は気後れしてしまいました。ゆるりゆるりと歩く私に、先を進む父は振り返り「こういう橋は苦手なんだな。」と自慢気に笑って言いました。

この日、一番嬉しそうに見えた父でした。

 

 

 

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