tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

近況48.30年ぶりに飲み込んだもの

涙が止まらなかった。

よだれも垂れ流し。

身体は横たえ、できるだけ力を抜くようにした。

でも、目は頭上右斜めにある画面に釘付けだった。

記憶に確固たる自信はないものの、30年前は、もう少しふっくら張りがあったと思う。でも、今回は、張りも無くなって、ぺちゃっとしてる風に見えた。もっとも、単なる気のせいかも知れない。

 

数分前の会話

「メガネ、外しておきましょうか。」

「あの、様子を画面で観ることはできますか。」

「できますよ。じゃあ、メガネは着けたままにしましょう。」

メガネは着けたまま

そんな会話の後、診察台の横に立つ。

「これが、鼻から入ります。」

「先がずいぶん細くなったんですね。以前はビー玉くらいはありました。」

「えぇ~?!そんなのを飲み込んでいたのですか?」と助手さん。

「前はそうでしたね。今はこんなに小さくなりましたけど。」

大豆くらいの大きさかな?と思いつつ、台の上で横になる。

 

「じゃあ、右の穴から入ります。」

それは横を向いたときに上側になる方だった。(痛い、痛い!)と思いつつ平静を装っていたつもりだが、上手く進まない様子。程なく一度、鼻から取り出された。

もう、お分かりだろうか。30年ぶりに内視鏡胃カメラ)に挑戦したのだ。

 

「左から入れますね。」

と言われた。きっと、鼻の通りが悪かった場合も予想して、鼻の両穴に、麻酔液や滑りをよくする薬が塗られたのだと思う。

 

しかし、右穴の時よりも痛みが大きい。

「こっちの方が入りやすいようですね」と言われたが、

今度は「いはいへふ(痛いです)」と答えてしまった。

「痛いですか。でも、ここを通れば痛みは和らぎますから。」

ぐぐぐっと鼻穴を押し広げながら、それは奥へ奥へと進んでいく。

(あがっ!あがががが!)

鼻の穴を突き破られるかと思うほどの痛みが一瞬走ったが、成る程、その後は痛みが弱くなった。

「鼻は通りましたよ。喉を通るときに合図しますから、その時は飲み込んでくださいね。」

30年前は、飲み込もうとしてはえずいてしまい、何度もやり直したように記憶している。戦々恐々になっていたところへ

「はい!」との合図。

「うぐっ」と飲み込んだ。鼻を通る時より痛みが少なく、入らなかったか?もう一度か?と思っていると

「無事、通りました。」とのこと。無事、難関クリアである。

 

体内探検

内視鏡検査の話が出た時に、30年前の検査について聞かれた。

「小さなポリープが見つかりましたが、問題ないとのことで、そのままです。他は特に異常はなかったです。ただ、内視鏡を飲み込むのに苦労しました。」

「その頃に比べたら、小さくなっているのでかなり楽になっていますよ。鼻からにしますか?口からにしますか?」

迷わず、鼻からを選んだ。経験しておきたかったのだ。進化したという医療技術を。

 

確かに、ビー玉大だった頃と比べると、喉を通るときはスムーズだったとは思う。えずくことも無かった。でも、お世辞にも楽とは言えない。

 

でも飲み込んだ後は、医師も余裕が出たのか、画面に表示される映像を説明してくれながら進む。体の中を内視鏡が通っていく違和感はあったが、30年前と比べて体内がどう変わっているのか、興味の方が勝っていた。仮に食道がんでもあれば、本来はつるりとしたピンク色の内壁なのだが、そこにぼこぼこした突起があったり、青黒く変色したりすることもあると聞く。30年前に見たポリープは、ピンクの内壁に白くぽこっと膨らんでいた記憶がある。

 

「よだれは、飲み込まずに流してくださいね。飲み込むと、えずきやすいですから。」と助手さん。よだれが首へ流れるのが気になったらこれで拭いてくださいと、手に何枚もティッシュを握らせてくれた。その優しい気配りにずっと涙が止まらないままだ。涙の原因は別にあった気もするが、気配りのおかげだと思うことにした。こうして記事のネタにもなってくれる。

 

内視鏡は喉を通っていく。画面にはピンクの内壁の奥に黒い穴があり、ゆっくり進んでいく。以前に比べると、内壁がペチャっとしてる風に見えるが、色は悪くない。

「あ、小さいポリープ、ありました。これでしょう。」

画面には小さくて白いぽっつんが見えているとのことだが、私にはよくわからない。こんなに小さかったっけ???あれえ?

「これなら、問題ないですね。」

 

私のイメージにあるポリープとかなり違っていた。

イメージと画面の違い

イラストなので正確性に欠けるが、これくらいの差があったと思う。画面に映ったポリープは内壁の凸凹しているのと大差なく見えた。検査後に改めて見せてくれた画面で、指摘されなければわからなかった。もしかしたら、30年前は拡大したのを見せてくれたのかも知れない。

 

異常なしではあったけれど

胃の入り口、内側、胃の出口も見た。異常はなかった。

十二指腸まで検査をした。十二指腸では内壁の襞が何本も見えたし、それが老朽化している風にも見えたが、問題のないピンク色だった。

内視鏡を入れる時と違って、出る時は鼻腔内の様子も見えた。そこを通る時はさすがに少し気になった。煙草の影響だろう。ピンク色ではなかった。青黒い色になっていた。まぁ、予想していたことではあるし、むしろ予想していたほどでもなかった。

涙とよだれを流し続けた内視鏡検査は無事終わった。

 

それより気になったのが、お腹の膨満感だ。検査の為、前日の夜9時から検査当日の昼頃まで何も食べていなかったが、検査中、ずいぶんお腹が膨れた感じがあった。内視鏡を飲み込んでいるのだから当たり前ではあるが、内視鏡を抜いた後も膨満感が収まらない。まだ麻酔の影響があり、すぐに食事をすると誤嚥してしまうとのことで、検査後1時間は何も食べないように言われたが、1時間後に空腹を感じるだろうか。とても、そうは思えなかった。

 

加えて、鼻の奥の違和感も続いていた。麻酔のせいもあるのだろうが、粘り気のある鼻水も止まらない。この時に思い出したことがある。「へ」の字との闘いだ。かつて小説風の記事に書いたことがある。

記憶とは恐ろしい。麻痺した感覚と鼻水が流れる感じは確かにそっくりだったが、意識するまでこそばゆく思わなかったのに、一度意識してしまうと、どうにもこそばゆく感じてしまうのだ。

 

病院で会計を待つ間、何度ニヤニヤしてしまっただろう。

 

一時間後

さて、会計も終わり病院を出たものの、昼食まで(正確には麻酔が切れるまで)時間を潰さないといけない。そこで、近くの公園まで行き、付近を散歩することにした。お腹の膨満感が続いていたので、少し運動すれば空腹になるのではと考えたのだ。

 

鼻にまだ違和感が残ってはいたが、それほど気にならなくなってから、鼻水も止まった風だ。これも、かつて経験済み。身体が違和感に慣れたのだと思う。

 

さて、散歩を20分程続けた頃、お尻がむずむずして、歩くたびにぷっぷ、ぷっぷとおならが出始めた。そうか、お腹の膨満感は空気が入り込んでいたせいだろうと考えた。果たして、ぷっぷぷっぷが途切れた頃、無事、空腹感が戻って来た。

 

さあ、昨夜9時頃以降、約16時間ぶりの食事である。

 

 

 

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