tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

エレベーターのボタン、どれから押す?

「閉」が先か「階」が先か

高校時代によく行った映画館での話です。

3階だったか、4階だったか、エレベーターで上がります。でも、エレベータの前で何人か並んでいれば、階段で上がるのが常でした。

 

その日は一人だったのでエレベータに乗り、行きたい「階」のボタンを押しました。扉が閉まるまでに少し間がかかるので「閉」のボタンを押しました。その時、気になったのです。他に誰もいない場合、先に「閉」のボタンを押し、その後に「階」を押した方が、幾らかでも動き出しが早いんじゃないか?と。

実際に時間を計ったわけでも、エレベーターが動き出す仕組みを調べたわけでもありません。でも、安全を確保するには、扉が閉まっていなければ動かないだろうと考えました。そのため、先に「閉」を押し、扉が閉まる間に「階」を押す方が、ボタンを押すわずかな時間ながらも、早くなると思ったのです。

 

ただし、他に乗る人がいないかを確かめるのは鉄則です。エレベーターが安全確保の設計なのに、その安全を疎かにするのは愚の骨頂というものでしょう。

 

トイレとパン焼き、どちらが先?

どちらが先かの思いつきは、他の場面でも応用できました。

例えば、朝起きた後のトイレ(小)とパンを焼く順番。トイレを済ませてからパンを焼くと、トイレの時間+パンを焼く時間が必要になりますが、パンを焼いている間にトイレを済ませれば、パンを焼く間に両方をすませられます。不思議なもので、トイレはパンを焼いてからとの意識が持てると、それが普通になります。時にはどうしてもトイレが先ということもありますけど。

 

仕事でも、データをプリントアウトする間にトイレに行ける、メールチェックができるなど、時間配分を考える癖がつきました。もちろん、思惑通りにいかないこともありますが、それで苛つくことはまずありません。順序を入れ替えずにやるよりは短時間で済ませられるし、一つの作業にどれくらいかかるかの目安も得られます。上手くいかなくて不機嫌になるのはむしろ作業効率を下げて良くないとわかっているので、気持ちをコントロールする練習にもなります。

 

スープを作る場合でも、野菜を切るより先に、鍋に水を入れて火にかけ、沸く前に切り終えたものから鍋に投入するなど、湯が沸く時間、野菜を切る時間の目安がつけられるようになります。似たようなことは誰しも経験していることでしょう。

 

思わぬ展開

さて、仕事の旅行先の話です。ホテルにチェックインして、エレベーターに乗り込みます。後続の人がいないのを確かめ、先に「閉」ボタンを押しました。続いて「階」のボタンを押そうとしたのですが、何階だったかを失念し、ポケットに入れたルームキーで確認しようとした時です。不意にエレベーターが動き出したのでびっくりしました。それも下へ動いている様子。一瞬、どこに連れて行かれるのかと恐ろしくなりましたが、すぐフロントが2階で、1階は駐車場だったと思い出します。

 

安堵して、予想外の展開に可笑しさが込み上げてきたところで、1階に到着。扉が開きますが、私は降りません。乗ってくる人は怪訝な顔になったでしょうが、私は恥ずかしくて視線を下げたまま、笑うまいと堪えていました。結局、何階だったのかは憶えていません。そうでした。「閉」のボタンを押しただけでは、エレベーターの向かう先が上か下かは決まらないのです。しまった!ですね。

 

使い易さを求めて

ところで、エレベーターのボタンのデザインの違いを知っていますか?

エレベーターのボタンの違い
aとbの違い

aとbは、エレベーター出入口付近に設置しているものです。

5階ぐらいならボタンの並びを1列にできますが、階数が増えてくると複数列の配置になります。この並びに幾つか違いがあります。

aはN字のように、まず1から4までが上に続き、5から8は1の右隣の列になるパターン。目の流れからすると、1~4まで見て、次5~8を見るという感じ。

bは千鳥配列と呼ばれ、階数が左右に蛇行するパターン。下から積み上げていくため設計しやすく、こちらの並びの方が望ましいとされているようです。ただ、目の流れからすると、1,2と見て、上の3,4を見、また上で5,6と見て、さらに上で7,8と見る必要があります。

仮に、10階のビルを建てるとすると、aは1~5の列と6~10の列を新たに作る必要がありますが、bは7,8の上に、9,10を配置すればOKとなります。a,bでは、見やすさと作りやすさに違いがあるわけです。

 

cは車椅子用ボタン

cは、最近のエレベーター等でよく見かける車椅子用のボタンです。ユニバーサルデザイン(出来るだけ多くの人々が利用しやすいデザイン)の広がりを感じます。でも、車椅子の人も背の小さい子も、出入り口から離れてしまった人も使えて便利ーーという誤解をしている人も多いのではないでしょうか。実は私もその一人でした。

 

車椅子用ボタンは、見た目のデザインだけでなくエレベーターの動作も違ってきます。車いすで利用する場合、乗り降りに時間が必要なため、エレベーターの扉の開閉がゆっくりになる等の仕組みになっているとのこと。つまり、車椅子用ボタンを使用すると、そのエレベーターに車椅子利用者が乗っている設定に切り替わるそうです。

 

例えば、つい流れでエレベーターの奥まで入ってしまい、出入口のパネルに手が届かないからと車椅子用ボタンで6階を押すと、6階で車椅子の人が降りるという合図になります。これが繰り返されるとエレベーターの遅延が生じ、人の移動が滞ることもあるそうです。

 

また病院のベッド専用エレベーターに一般の人が乗り込んでしまい、一刻を争う事態に対応できなくなることもあると聞きます。他にも、タクシー代わりに救急車を使おうとする人がいる、電車の優先席に体調を悪くした人が座ろうとすると非難する、そんな事例も聞きます。

 

誰にとっても使い易いデザインと、誰かの為に使い易くしたデザイン。

そこへの配慮を忘れると、使いにくさに繋がる場合があります。

せっかくの優しいデザインを活かせるようになりたいものです。

 

「閉」が先か「階」が先か、に明確な答えはありません。

それより先に考えるべきことがあるという話でした。