1000までの素数表を作る手順の続きです。
前回の手順1~5を書いた記事はこちら。
数字にまつわる話題が続いていますが、もう少しお付き合いください。
素数表を作る手順6、7
手順6 11を除き、11の倍数を消していく
手順7 13を除き、13の倍数を消していく
手順6 11は残して、11の倍数を消していく
経過の表(5)は、11の倍数をオレンジで消していくと、斜め45度の下り線を描くのがくっきり見えます。111の行にはオレンジがなく、121から再出現します。計算いらずで作業も捗ります。1000までに11の倍数として新たにマスを消せるのは全部で20個です。
なお、100までの素数表を作る場合は、11の倍数を考える必要はありません。7までの倍数を確かめた時点で完成します。
手順7 13は残して、13の倍数を消していく
経過の表(6)の消すマスに規則性はあるものの、数字が大きくなってきた分、隙間も広がって、模様がわかりづらいです。計算機で確かめながらマスに色付け。169(13×13)以降に、新たに消えるマスが増えていきます。ちなみに、1000までに消せる数字は16個になります。
手順8の前に気になったこと
手順8は次の素数17の倍数を確かめることですが、それよりも気になることがありました。11の倍数を埋め、さらに13の倍数を埋めた1000付近の表がこれです。
上の表では11の倍数として新たに埋められた最後は979(11×89)。13の倍数として新たに埋められ最後は949(13×73)。作業がこの辺まで進むと、ぽつ、ぽつとしか消えてくれません。モチベーションも下がります。
1000までの素数表を作るのに、いくつまでの数字を消す作業が必要なのでしょう。言い換えるなら、最後に消す数字は何でしょう。1000までの素数表を完成させる見通しを確かめたくなりました。
1000マスの内、最後に消す数字は何か?
最後に消す数字の手がかり
「経過の表(5)11の倍数を消す 」でも「経過の表(6)13の倍数を消す」でも、新たに数字を消したのは、素数の2乗以降です。また、素数表づくり自体が、大きな素数により大きな素数をかけた答えを消す作業になっています。
ある素数の2乗が1000を超えない最大の素数は何か?
まず、ここから考えてみました。
素数の2乗で1000を超えない範囲で最大の数は…と探すと、途中までできている素数表に「31」を見つけました。何となくこれが一番近そうです。
31×31=961
かなり1000に近いですが、961より31多い(つまり31の32倍)992の方がより1000に近いです。ただ、偶数なので、すでに消えています。とは言え、直感的に961より大きくて、これ以降に消える数はありそうに思えました。
もっと1000に近くてこの先に消える数
待てよ?31より小さい素数「29」や「23」、またはそれに近い素数同士の乗算で、もっと1000に近い数を見つけられないかと考えました。
と、その時。
「あ。同じことを高校時代にも考えたっけ。」
と思い出しました。ただ、答えが出せたのかどうか、答えが何だったのかの記憶はありません。でも、29×31、23×41等はすぐ思いつきました。その辺りの素数であれこれ掛け算をします。
29×31=899、29×37=1073
23×41=943、23×43=989、23×47=1081
19×47=893、19×51=969、19×53=1007
この先で消える1000に一番近い数は23×43=989になりそう。
そして作業の手順からして、最後に消す数字は961だろうと考えました。
31の2乗まで消せば、1000までの素数表は完成するはずだと予測したのです。
これで見通しが持てました。でも、もっと具体的な見通しが欲しくなりました。
あといくつ消せば1000までの素数表が完成するか
ここまでの作業でようやく、ある素数の2乗を消した後は、その素数より大きな素数をかけた数を消すという法則に気づきました。気づくのが遅いぞと自分で突っ込みを入れます。
そうすると、13以降の素数は、17、19、23、29、31、…と続きますから、その組み合わせでかけ算をし、答えが1000を超えないものを消すことになります。
17の倍数だと、17,19,23,29,31,37,41,43,47,53 の10個
19の倍数だと、19,23,29,31,37,41,43,47 の8個
23の倍数だと、23,29,31,37,41,43 の6個
29の倍数だと、29,31 の2個
31の倍数だと、31 だけの1個。
ということで、あと27個の数字を消せば完成です。
あと少しです。
そもそも、先輩に教わった素数表の作り方は100までのものです。すらすらすらと暗算で埋められたのも当たり前。それを1000までの素数作りにも、そのまま使えるだろうと気軽に始めてしまったのが苦労した原因だったのでしょう。
高校時代の自分を超えたのか?
蘇った記憶
実はここにきて、高校時代に1000までの素数表作りを途中で放棄したのを思い出しました。それも結構早い段階での話です。
1000までの素数表づくりのきっかけだった「1000までの内、素数でない数字が10個以上続くことがあるか?」の答えを、201~210の行に見つけて(もう、ここまででいいんじゃない?)と一気にモチベーションが下がってしまったのです。
途端に13の倍数を消す作業がとても面倒に思われ、31の2乗まで消さないと、1000までの素数表は完成しないと知ったとき、「これはさすがに大変そうだから、もうやめよう」と断念したように思います。あと何個消せばいいのかと考えるには至らず、見通しが持てなかったのでしょう。
せっかく作った表でしたが、いろんな印が混ざり合った上、書き直しも度々で、とても見づらい表になっていました。結局くしゃくしゃに丸めてしまった気がします。
1000までの素数表は完成
今回は、その後も踏ん張って、自力で1000までの素数表を完成させました。40年近くかかって作成したことになります。素数表と作る過程の詳細は別記事にする予定です。
昔あきらめたことが今回できたからと言って、高校時代の自分を超えたという気はしません。
もし、あの時と同じ装備?で作業をしたなら、やり通せた気がしません。逆に、あの時今と同じ装備があったなら、きっとやり通せた気もします。さらに、ネットの普及した今なら1000までの素数表を呼び出すのもあっという間で、答え合わせをして、確かめることも簡単。そんな思いが背中を押してくれた気もします。
でも、記憶の奥に沈んでいた記憶が蘇り、再挑戦して完成できたことは、素直に嬉しいです。あの時の悔しい経験が無かったら、55歳にもなって挑戦しなかったと思います。1000までの数の内、素数の倍数を一つ一つクリックして消す作業にどれだけの意味があるのかと投げ出していたでしょう。
素数のイメージが記憶とリンクする
前回の記事で書いた私の素数のイメージ、
出てくるまでは、他との繋がり(倍数や約数)のない素っ気ない数。けれど、出てきた瞬間、次の素数を探す重要な手掛かりになる素敵な数。
そのままに、素数の記憶がリンクしました。
思い出すまでは素っ気ない素数の記憶。でも、思い出した瞬間、素数を探す重要な手掛かりになる素敵な素数の記憶。
そんな感じ。
前回、
何だか人生訓染みています。自分の人生に必要ものに気づくためには、自分の人生を歩む中で手に入れたものが糧になる…みたいな…。え?私の思い過ごしですか?
と記事に書きましたが、どうやら思い過ごしでも無さようです。
昔の自分に背中を押してもらった、そんな感じがします。