tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

音楽22.クラシック音楽プレイスリスト(1/3)

クラシック好き少年の複雑さ

松田聖子の『ハートをRock』(1983年アルバム「ユートピア」収録)では、クラシックコンサートでデートする女の子の心情が歌われます。バッハの曲を演奏中です。

あなたに誘われた コンサート それもクラシック
まぶたを閉じないで 眠るコツ 発見しそうよ

当時、17歳の少年は少なからず戸惑いました。そして歌の後半、

あなたを変えたいの
すこしづつ私の好みに

と続きます。

クラシック好きはもてないのかな…と落胆しつつ、受験生に恋は禁物だから丁度いい、自分を変えたくはないなんて強がってました。 

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クラシック音楽を聴き直す(1)

高校時代、NHK-FM放送の「FMクラシック・アワー」を中心にクラシック音楽を楽しんでいました。手軽に幅広く曲を聴くことができる上、解説付き。クラシック音楽をぐっと身近にしてくれました。そのことを周りの友人にはほとんど話さなかったのはきっと『ハートをRock』が影響しています。

 

すでに週が変わっていますが、今週のお題「わたしのプレイリスト」の機会を借りてクラシック音楽を私流に10曲選出してみました。それを3回に分けて記事にする予定です。選ぶ過程で久しぶりにクラシック音楽に浸りました。浸り過ぎて、お題の週に間に合わず、開き直ってマイペースで記事にしています。今回は3曲、紹介します。 

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高校時代のクラシック音楽プレイリスト 初回


1.『G線上のアリア』 (J.S.バッハ)

アニメ『さらば宇宙戦艦ヤマト』の『白色彗星』の影響で、パイプオルガンに興味を持ち、高校時代のバッハと言えば、『トッカータとフーガ ニ短調』 が一番でした。アニメ『幻魔大戦』(1983年)で使われたり、後に嘉門達夫に「ちゃらり~ん、鼻から牛乳~」と歌われたりした曲です。続いて『小フーガト短調』でした。

 

高校卒業後、映画『転校生』にバッハの曲が使われていたと知って驚きます。当時は曲名を憶えられず、しばらく「転校生のバッハのあの曲」でした。後に『アリア』の名を知ります。でも『G線上のアリア』は、私の中では「G戦場のエリア」として、G(Gは Germany =ドイツと勝手に解釈)の戦場のある区域で命を落とした多くの人を悼む曲だと思い込んでいました。その頃、クラシックの曲について何か調べるのも、二つの曲を聴き比べる機会を持つのも難しいことでした。前回の記事『音楽21.『セロ弾きのゴーシュ』(さだまさし)を聴き直す』と同じパターンです。

 

クラシック好きと言いながらこのありさま。バッハが管弦楽組曲として『アリア』を作曲したのが18世紀前半。ウィルヘルミによりバイオリンの弦一本(G線)だけで弾ける『G線上のアリア』に編曲されたのが19世紀後半。ソロでも演奏できる曲となって、有名になったと聞きます。これを私が知ったのがネット普及後の21世紀初頭。

 

この間、世界中でどれだけの人々が演奏し、聞いたのでしょう。ネットの登場を考慮すれば、ここ数十年で大幅に増加したとは容易に想像できますが、この曲が300年近い時空を超えてきた事実に圧倒されます。軽くめまいがしました。

 

今はバッハと言えば、パイプオルガンよりも『G線上のアリア』です。また、勝手に『ハートをRock』で眠たくなった曲はこれかも知れないと思っています。 

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リンクはバイオリンのソロではなく、管弦楽組曲 第3番 ニ長調第2曲 指揮:カラヤン ベルリンフィルによる演奏です

 

2.『四季』より『秋』(ビバルディ)

ビバルディは確か中学校で習いました。でも『春』だけでした。『四季』を全曲聴くと40分を超えるため授業に収まらないと知ったのは、NHK-FMの「朝のバロック」?での解説のおかげ。番組では、4回に分けて、『春』、『夏』、『秋』、『冬』の約10分ずつの曲を一つずつ流していました。

 

『春』、花爛漫の陽気さ、吹く風にそれが舞い、華やかさを感じます。

『夏』、暑さに緑の葉の輝きと影のコントラストが思い浮かびます。日本ほど暑い場所ではないはずですが、天気も変わりやすい感じも出されている気がしました。

『秋』、最初は『春』の裏の曲という感じですが『春』のふっくらした感じとは違う、研ぎ澄まされた寂しさや、消え入りそうな弱弱しさ、時間が止まったような退屈さを感じつつ、なお秋を楽しむ奥深さがある感じがします。

私が齢を重ねたせいでそう思うのかもしれません。 こんな記事も書きました。

2年前の呑気さが残っていますが、今も人生の収穫を続けている感じはあります。

『冬』、これは1年の終わりを意味する曲ではないと思います。積もった雪にひるまず進む姿が連想されます。同時に冬を越すとまた訪れる春の準備をしている感じもします。胎動の曲と言えるかも知れません。

 

 『春』しか知らなかった頃、或いは『夏』『秋』『冬』を聞いて間もなかった頃、『四季』の中では、『春』が一番いいと思っていました。でも、「青春」がそれだけで終わらず「朱夏」「白秋」「玄冬」と続くと知ってから、『四季』の大きなテーマは『春』がどう変遷するかだと思うようになりました。

 

確かに青春は素晴らしい。でも、それ以外が無意味なのではなく、それぞれに楽しみがあるのだと、この曲は教えてくれていた気がします。

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リンクは『四季』(全曲42分ほど)『秋』は 20:59 より

 

3.『歌劇 ウィリアム・テル 序曲』(ロッシーニ

この曲の第4部「スイス軍隊の行進」は運動会などでもよく聞きますが、高校時代に重ねると浮かび上がるのは、お笑いバラエティ番組『オレたちひょうきん族』(1981年~)です。第4部を聞くと不意にCGを駆使したオープニングが思い出されることがあります。オープニングの語りも毎回凝っていましたね。

 

話がそれました。オペラ『ウィリアム・テル』全曲を聴いたことはありません。ただ、序曲の第4部の有名さは傑出しています。そのイメージで、序曲を最初から聞いた時は驚きました。重く静かな始まりは「夜明け」。童話ではウィリアム・テルはスイスの森の人という設定なので、森の様子だろうと思っています。

 

是非一度最初から聞いてみてください。 

第4部「スイス軍隊の行進」がさらにかっこよく聞こえると思います。

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『四季』もそうでしたが、知らない部分を聞くと視界が開けた気になることが度々あります。 一部だけ知っている曲を改めて聴き直すことは、クラシック音楽を楽しむ近道と言えると思います。

 

ここで扱うクラシック音楽について

クラシック音楽の区分

wikipedia 「クラシック音楽」では

今日一般的に「クラシック音楽」と称されるものはバロック音楽古典派音楽、ロマン派音楽に当たる1550年頃から1900年頃の音楽であるが、それ以前のものも、それ以後のものも、同じ流れに属する音楽は今日あわせてクラシック音楽と呼ばれることが多い。

とされています。 

 

高校時代からもう40年程が経ちました。当時はクラシックではなかった曲が、クラシック音楽と言われることも出ています。例えば伊福部昭の『ゴジラ』やジョン・ウィリアムズの『スターウォーズ』関連の曲等はクラシックの流れを汲んでいる上、一定の時間も経っているのでクラシック音楽の仲間入りを果たしたという論調もあるくらいです。今回下調べをしていて、かなり驚きました。音楽の枠組みも常に動いているのですね。

 

今後全3回予定の「クラシック音楽プレイスリスト」の記事では、クラシック音楽の境界がかなりあいまいになっています。個人的なイメージから、『ゴジラ』『スターウォーズ』などは外した一方で、以後のリストには1900年代に作られた曲も含まれています。ご了承ください。

 

クラシック音楽の楽しみ方

それにしても、インターネットで聞きたいクラシックをすぐ聞ける今の時代にあらためて驚きます。あやふやな記憶でも目的の曲を探すのはあっという間。本当に便利になりました。パソコンの前に座ったまま、次から次に曲を変え、また聞きたい部分だけ聞いてクラシック音楽に浸ることができるのです。

 

高校時代なら、レコード店や本屋、図書室を回って曲名を調べ、新聞のラジオ放送欄をチェックして録音するなど、一つの曲を聴くのにも一苦労でした。その分、目的の曲を見つけた時の喜びは大きく、つい心の中でガッツポーズしてましたね。

 

でも、それよりもっと以前は、時間と場所を合わせて演奏の場に出向くか、演奏者に来てもらうしかなかった時代があったわけです。その頃、一つの曲が、一回の演奏がどれだけ貴重なものだったか。時代によって音楽の楽しみ方もずいぶん変わりました。昔と今とどちらが良いかなんて比べるつもりはありません。クラシック音楽はその時代その時代で楽しまれ、大切にされてきた音楽です。今の時代だからこその楽しみ方を見つけていくのも醍醐味ではないでしょうか。 

 

< ※ クラシック音楽プレイスリスト(2/3)へ続く >

 

今週のお題「わたしのプレイリスト」