tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

最近、ヒバリを見かけましたか?

新緑鮮やかなりし頃、高校に登校中の話です。自転車通学で約7kmの距離、水田を横切る農道ルートを走っていました。以前記事にしたこともあるルートです。

ヒバリとの出会い

田畑が広がる道を進んでいると、上空からピイピイ、ピイピイ鳴き声が聞こえます。ふと自転車を止めて空を見渡すと、小さな鳥が一羽。羽ばたきはそれほど力強くは無く、何だかたどたどしく進む感じ。それでも、止まることなく高く高く上っています。 

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揚げヒバリ

 

頑張れと応援するより先に、大丈夫なのかな?と心配になりました。

あんな小さな鳥がひょろひょろ一羽で飛んでいたら、カラスや鷹に襲われるんじゃないか。小さな鳥の餌があんな空高くにあるはずもなく、降り方がわからなくなってるのではないか。或いは仲間の鳥から置き去りになったのではないかーー。

そんな印象を持ちました。

 

どこまで上がっていくのだろう?でも、いつかきっと疲れて降りてくるだろう。登校中なのでそれほどじっくり観る余裕もなく、その場を後にしました。

 

関心を持つ

鳥の生態については幾らかの興味がありました。スズメ、ツバメは童話で親しみがありました。鶏は実際に飼育していました。

ペンギンは『ながいながいペンギンの話』(いぬいとみこ)で身近になりました。カッコウ科学雑誌の特集で托卵を知りました。地表では動きが遅いアホウドリが体力を賢く温存しながら滑空することに感心しました。そんな延長で、ヒバリにも関心を持つことになったのです。

 

高校の図書館で調べたのだったか、あの鳥がヒバリであると知りました。繁殖期のヒバリは、テリトリーを守るために高く鳴きながら飛ぶそうです。しかし、あの飛び方は天敵に餌はここにいますよと教えているようにしか思えません。

 

スズメよりわずかに大きいくらいなのに、群れることなく、けれど頼りなく、また身の危険を顧みずに声を上げ、愚直に高みを目指して飛んでいく。何とも不思議な魅力を持った鳥でした。

 

ヒバリと言えば・・・

『ストップ!!ひばりくん!』(江口寿史

高校時代の連載漫画の人気NO.1といえば、『Dr.スランプ アラレちゃん』(鳥山明)。続いて『うる星やつら』・『めぞん一刻』(高橋留美子)、『タッチ』・『みゆき』(あだち充)、『キャッツ・アイ』(北条司)でしょうか。あくまで私の主観ですが、自分を持った強い女性が当たり前に作品に出てきた時代に思います。

 

そんな中で『ストップ!!ひばりくん!』は、女性的な美少年(トランスジェンダー)が描かれ、不思議な魅力がありました。周囲や好きな相手にも動じることなく、自身の恋愛観?によって動くひばりくん。でも、真っすぐな一本調子ではなく、女の子的な部分を出したり、隠したり。見た目女の子でも、男性であることからくる孤独感もあって、一羽だけで空をよたよた上っていくヒバリの姿が重なりました。

 

分類としては本来ギャグ漫画にされるのでしょうか、また扱うテーマがギャグにしづらかったせいでしょうか、そもそも遅筆な作家だったせいでしょうか、度々「週刊少年ジャンプ」で休載を繰り返した後、打ち切りになりました。記事を書くに当たり検索すると、2010年2月27日に27年越しで完結したとのことです。

 

連載打ち切り後に、似たテーマを扱う他の漫画『Mr.clice(ミスタークリス)』(秋本治)、『夢みるトマト』(石坂 啓)や『変[HEN]』(奥浩哉)といった漫画も登場します。また大林監督の映画『転校生』もありました。

今の時代だと、どう評価されるのかわかりませんが、私にとってこれらの作品群はBLGTを考えるきっかけの一つになっています。

 

美空ひばり

中高の時代、歌手美空ひばりには、あまり関心がありませんでした。ちょうど、紅白歌合戦に出なくなり、テレビに映る機会も減った時期だったからだと思います。

 

ただ、ヒバリを知ってから、美空ひばりに幾らかの関心を持ちました。と言っても、小さい頃から役者と歌手として有名で、やがて歌謡界の女王に君臨した人が、ヒバリを名乗るのにはどんな理由があったのかな?という程度でした。

 

その後、『川の流れのように』のヒットに合わせて一気にいろんな情報を得ます。小さい頃の苦労話や地方に巡業していた話も聞きました。とりわけ、高知県長岡郡大豊町(旧大杉村)での話 (wikipedia)で一気に身近な存在になりました。私も大杉に訪れたことがあったからです。何でもバスで移動中、トラックを避けた際に崖に転落。九死に一生を得たものの、大けがをしたそうです。誰かの威光の下で有名になったわけでもなく、恵まれた才能を自分や周囲の力で花咲かせた努力家のイメージに変わりました。

 

なぜ名前を「ひばり」にしたのかその由来は不明ですが、美しい青空の中、高みを目指し小さい体で懸命に上り続けるあのヒバリとぴたり符合した瞬間でした。

 

2019年12月31日のNHK紅白歌合戦で、歌声合成技術『VOCALOID:AI』によって美空ひばりが新曲『あれから』を歌う様子が放送されました。AIやCGを駆使して美空ひばりを再現し歌わせることには、賛否両論ありました。

 

その是非はともかく、対象が美空ひばりであったからこそ、多くの人が集まってプロジェクトが動いたのだと思うのです。また、賛否両論あったということは、それだけよく知られた歌手である証拠でしょう。故人を生きている人のように再現したいと生前の肉声テープを流したり、アンドロイドで動きを真似るなどは、もっと以前からありましたが、AI美空ひばり程、話題になったことはありません。

 

その意味では、やはり美空ひばりは偉大な歌手であったと再認識したのです。

 

 

ちょっと余談になりますが、先日、私がよくお邪魔しているブログ「日常にツベルクリン注射を‥」でも大杉と一緒に美空ひばりの歌碑が紹介されていました。あまり知られていない同じ場所を訪れたという話は、なんだか嬉しいものですね。

www.tuberculin.net

近くには、美空ひばりの名に因んだ「ひばり食堂」があります。地元では普通盛りが通常の大盛りサイズな上に美味しいと知られた店。数年前に私も寄ってみましたが、田舎で有名なのも納得の味とボリュームでした。 

 

英語でLARK?skylark?

ヒバリは英語では LARK です。煙草の銘柄ですね。赤地に白い文字のやつです。

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LARK

吸っている友人がいました。ヒバリつながりで、ちょっと紹介したくなっただけです。深い意味はありません。

 

英語には skylrak という言い方もあります。こちらは企業名として有名です。高く飛ぶヒバリの意味になるのだとは思いますが、今ひとつ LARK と skylark の違いがはっきりせず、疑問のままになっています。

 

 でも、それは大した疑問ではありません。

 

落語『愛宕山

2007年のNHK朝ドラ『ちりとてちん』では、北陸育ちのヒロインが大阪で落語家を目指す姿が描かれました。その中で『愛宕山』という落語が重要な意味を持って取り上げられます。

 

上方落語の中でも有名な話に入ると思います。京都の旦那が太鼓持ちを誘い、芸者や女将を引き連れて春先の愛宕山へ登る(ピクニック)という話です。その、愛宕山に向かおうと鴨川を渡った後の場面です。

 

「なんし春先 
遠山には霞がたなびいて
空には雲雀(ヒバリ)がチュンチュンとさえずっていようか
下には陽炎がもえていようか
蓮華たんぽぽの花盛り
麦が青々と伸びて
菜種の花が彩っていようというなか
かましゅうゆうてやってまいります
その道中の陽気なこと!」

 

古典落語本来の台詞です。威勢のいい「その道中の陽気なこと!」を合図に、お囃子が鳴り始める流れです。ただ、『ちりとてちん』では、ヒバリの件が、

 

空にはひばりがピーチクパーチクピーチクパーチクさえずっていようか

 

となりました。

 

ヒバリなら、スズメのような「チュンチュン」ではなく「ピーチクパーチク」にした方が良いのではという話から変えたそうです。古典落語として「チュンチュン」が残され続けたことにも意味があると思うのですが、ヒバリなら「ピーチクパーチク」というのも納得できる話に思えます。(ただ「ピーチクパーチク」を2回言うのは、間延びする気はします)

 

どちらが良いのか気になったまま、もう14年です。

これも気になることの一つですが、ヒバリについてはそれより気になっていることがあります。

 

ヒバリはどこに

『ストップ!!ひばりくん!』も、『美空ひばり』も、煙草『LARK』も、ファミレスのskylark も、時代の流れとともに遠ざかっていくのは、仕方ない気もします。

 

でも、GWは終わったのに、実家の近辺でヒバリばかりか、ツバメもスズメも見かけないままです。私が高校生だった頃、この時期には皆当たり前に見かけたものですが、どこに行ってしまったのでしょう。私の住んでいる家の周りでも、近年、ほとんど見かけなくなりました。これも、時代の流れの中で、仕方ないことなのでしょうか。どうにも気になっています。

 

ネット上のイラストや動画、説明文でしか遇えない今、改めて「大丈夫なのかな?」と心配してしてしまうのです。

 

誰か、最近、ヒバリを見かけましたか?