無呼吸症候群(SAS)の切り札CPAP(シーパップ)
CPAP(シーパップ)とは、無呼吸症候群の中等症~重症の人が無呼吸状態を起こさないために処方される医療器具です。処方なので、医療機関の診断が必須です。
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)とは「持続的陽圧」のことです。装着した鼻マスクから呼吸に合わせて空気圧をあたえる装置を睡眠時に使用します。軟口蓋(のどの奥)や舌を持ち上げて上気道を開くようにはたらき、いびきや無呼吸をほぼ100%解消します。
ただ、人によってはそう簡単に使い続けられる器具とはなっておらず、使用をあきらめてしまう人も少なくないようです。現在、父も悪戦苦闘中です。
今回の記事では、何故、そうした効果が期待できるのかを記します。
理解してもらうために、まず無呼吸症候群(SAS)の説明から始めます。
無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、夜間の睡眠中に無呼吸と低呼吸(いびき)を繰り返す病気です。
無呼吸とは、10秒以上呼吸が停止している状態のことです。低呼吸とは、息を吸う深さが浅くなり、吸気振幅が50%以上減少する呼吸等が10秒以上続く場合です。
これにより、体内の酸素が少なくなって、さまざまな運動機能や臓器に障害をもたらします。
- 深刻な睡眠不足によって、日中でも眠気が強く、集中力が低下したり、眠気のため交通事故や労働中の事故につながることもあります。
- 低酸素状態になるため、心臓に負荷をかける。高血圧・糖尿病・心筋梗塞・脳卒中などの合併症を起こしやすくなる。最悪の場合は突然死につながります
日本では、2003年2月に起きた新幹線の居眠り運転による事故が発端となり、SASが注目を浴びるようになりました。
※ 引用は、https://www.min-iren.gr.jp/?p=21011 からです。他にも参考にした内容もあります。
恐いと思ったのは、死因として無呼吸症候群の名前が上がらないことです。運転中の事故では居眠りや前方不注意として、突然死の場合だと心筋梗塞や脳卒中になるようです。また、その大きな誘因に無呼吸症候群があったとしても、本人はもちろん、周りの誰もが気づないままになることもあると思われます。
上でリンクを貼らせてもらったサイトには
(当院で検査したなかで、無呼吸の時間は最長で2分57秒でした)
との文章もあって驚きました。簡易検査では父の無呼吸の最長も同じ177秒(2分57秒)。一人暮らしになっていた父の無呼吸症候群を、大きな事故になる前に気づけたのは本当に幸運でしたが、ギリギリに近いタイミングだった気もします。
無呼吸状態が起きる仕組み
睡眠時に無呼吸状態になる仕組みには幾つかのパターンがありますが、大きく分けて2通りです。
・閉塞性睡眠時無呼吸(OSA):気道が何からの要因でふさがれてしまう。
・中枢性睡眠時無呼吸(CSA):気道は開いていても脳から呼吸の指令が出ない。
患者数としては閉塞性が圧倒的に多いです。
さらに、閉塞性睡眠時無呼吸になる主な原因が2つあります。2つの原因が重なっていることもあるようです。
(1)肥満
肥満により、のどの周りに皮下脂肪がつきすぎると、上気道が狭くなります。舌根(舌の付け根の部分)が肥大すると、いっそう狭くなります。
(2)顎が小さい
顎が小さいと、のどの断面積も小さくなるため、上気道が狭くなります。
これらと関連して、高齢化によって歯並びが悪くなっている、舌や顎を支える筋肉が弱って舌が下に落ち込む、首が短く気道が圧迫されやすい等の影響もあるそうです。
※ 下の図は、可能な範囲で聞いたり調べたりして得た私の予想図です。
実際の仕組みと違っている可能性があります。
私の父の場合、痩せ型で首周りの脂肪がほぼないので、顎が小さいため、または舌を持ち上げる筋肉が弱まっているため、舌根部が上気道に落ち込んでしまって無呼吸を引き起こしていると思われます。
治療のためのCPAP(シーパップ)の仕組み
無呼吸症候群が判明しても、現在のところ、無呼吸症候群を根治する薬は無いそうです。そこで、無呼吸を作らない機器CPAP(シーパップ)が数少ない対処療法になっています。
想像図ですが、CPAPによる治療は、器具からホースで一定程度の圧力のある空気を押し込み、密着させた鼻マスクから鼻に送ります。そのまま空気圧で下がった舌を押し上げ気道を確保して、肺まで空気を送り込むというもの。
ただし、この圧力が弱すぎれば舌を押し上げられず、強すぎると肺から呼気を出せなくなるので調整が難しいようです。医師の処方が必須になっているのはこの辺りに理由があるのでしょう。
ちなみにこれが父の使っているCPAPです。
ライターは大きさ比較のために置きました。使うときに火が必要なわけではありません。
父の場合、顎が小さいのでどうしても顎が下がってしまい口に隙間ができてしまうようです。場合によってはCPAPから鼻から送られた空気がほとんど口から出てしまい、あまり効果が出ないということも起こりえます。それを少しでも避けるため、父は口止めテープを貼った状態でCPAPを使っていますが、それでもなかなか難しいです。
次回は、父がCPAPを使う様子などを書くつもりです。
続きの記事はこちら