tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

音楽17.『萌ゆる想い』(さとう宗幸)と『2年B組仙八先生』

3年B組金八先生』シリーズが有名ですが、その姉妹シリーズの一つに『2年B組仙八先生』(1981.4.17 - 1982.3.26 放送)がありました。長髪より口ひげの印象が強い仙八先生。金八先生とは別タイプの優しさと強さがあるのが魅力に思えて、高校1年の時、毎週観ていました。

シブがき隊(本木雅弘薬丸裕英、布川敏和:なお、一時は「仙八トリオ」とも言われていたようです)、三田寛子のデビュー作品でもありました。

 

その主題歌が、仙八先生を演じたさとう宗幸による『萌ゆる想い』でした。

ゆるやかな坂道を のぼりつめたこの広場で
人の波にもまれながら はじめて君を識(し)った

有名な『青葉城恋唄』を先に聞いていたかは不明ですが、いつからかこの歌を青葉城仙台城)に続く坂道だと思うようになっていました。

 

その思い込みは、1999年に南東北の旅で初めて仙台を訪れた際、仙台駅から青葉城まで歩く決意に結び付きます。google map で確かめてみると、約3.2km。広瀬川に架かる橋を渡り、仙台博物館の横から続く坂道を、うろ覚えなこの歌を口ずさみながら進んだのです。

 

 この歌の謎は「人の波にもまれながら はじめて君を識った」です。

「知る」ではなく「識る」である理由、それも「人の波にもまれながら」なのは何故でしょう。全然知らない人の波(群れ)の中で、既に知っていた君を改めて(はじめて)識ったという意味に思えて不思議でした。男女の運命的な出会いのラブソングとは別に思えました。

番組を見ていた頃は、先生と自分が担当する生徒との出会いで、広場とは学校の運動場、人の波は全校の生徒かな等と考えましたが、どうにも不自然さを感じさせるのが続きの歌詞です。

ふりかえれば 長い道程(みち) 二人が出会う日まで
だから今は 陽光の中 君のために生きている

「二人が出会う」となっていますから、先生と生徒とは違うだろうなと。

 

そんなことも思い出しながら、また、あちこちにある城の石垣や、矢倉、門など見ていました。歴史を感じる長くゆるやかな坂道です。冬ながら汗ばんでくるほど歩いて、のぼりつめた先で見つけたのは伊達政宗騎馬像。

なるほど、観光客の人の波にもまれながら、既知の伊達政宗の像を改めて認識したという意味なのかもと思ったのでした。 

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伊達政宗騎馬像のイラスト

まさか長い道程が、仙台駅からの3.2kmではないでしょう。さとう宗幸伊達政宗の人生や思いを詳しく識るまでのことかな?等とぼんやり考えていました。その後に続く「君のために生きている」と言う部分に、まだ上手くつなげられなかったからです。

 

そんなもやもやもあったので、今回、あらためて伊達政宗騎馬像について、調べてみました。するとwikipediaに、

アジア・太平洋戦争下で日本が物資不足に陥ると、国家総動員法にもとづく金属類回収令により1944年(昭和19年)1月に供出され、仙台城から同像は姿を消した。

とありました。その史実を知ると、先の歌詞に合点がいきます。「ふりかえれば 長い道程(みち) 二人が出会う日まで」は、失われた後1964年に復元されるまでのことが含まれているのではないか?「だから今は 陽光の中 君のために生きている」は、今は平和の中にあり、像が二度と消されない(つまり、戦争が起きない)ように生きているという意味ではないか?

一見おっとりとした歌詞ですが、そこに強い思いもあるのだと、そんな風に思えてくるのです。

 

不思議なもので、そう考えると『2年B組仙八先生』の心の内を新しく一つ知った気がします。『金八先生』に比べると、押しが弱いと言うか、おっとりしている感じですが、それでも、内側には強い意志がある先生の姿そのままの歌だったのではないでしょうか。

 

相変わらずの、私が勝手にこじつけた解釈なのかも知れません。

 

でも、さとう宗幸は、『2年B組仙八先生』主演の後、NHK大河ドラマ独眼竜政宗』で支倉常長を演じますが、その後、主な活動場所を仙台に戻しています。

そんな彼の生き様と『萌ゆる想い』歌詞が重なるのです。

 

歌詞の最後はこうです。

祈る心はふるえながら 君住む街へ 駆けてゆく

まるで、『萌ゆる想い』はさとう宗幸自身の望郷の歌であるかのようとは、考え過ぎでしょうか。

  

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<余談 『桜中学シリーズ』>

『桜中学シリーズ』は、『3年B組金八先生』と同じ桜中学を舞台にしたシリーズです。

全45話が放送された『2年B組仙八先生』は、その4作目にあたります。


3年B組金八先生(第1シリーズ)(1979.10.26 - 1980.3.28)主演:武田鉄矢
1年B組新八先生(1980.4.4 - 1980.9.26)主演:岸田智史
3年B組金八先生(第2シリーズ)(1980.10.3 - 1981.3.27)主演:武田鉄矢
2年B組仙八先生(1981.4.17 - 1982.3.26)主演:さとう宗幸
3年B組貫八先生(1982.4.9 - 1983.3.25)主演:川谷拓三

途中、仙八先生のスペシャル番組が 1984年4月6日にありましたが、それ以降、3年B組金八先生(主演:武田鉄矢)のみのシリーズとなって定着しています。

 

実は、武田鉄矢が演じる金八先生は、当初、岸田智史が演じる予定だったとか。もし、予定通りに金八先生岸田智史が演じていたら、金八シリーズは、全然違うものになっていたかも知れません。

 

今週のお題「わたしの好きな歌」