tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

授業11.考える時の「の」の威力

授業を受けていて、クラスで自分だけがわからないままにいることを経験したことはありますか?私も幾度か経験がありますが、これは高校の数学Ⅰに出てきた問題での話です。

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つまずいたのは、ー(ー1^2)とー(-1)^2 の違い。

どうやら、他の人はすんなり通過できたようで、わかっていないのは私だけのようでした。どうしても書き方が違うだけで、値としては同じ-1に見えてしまうのです。こんな時に、左の場合は1、右はー1と暗記すれば良さそうなものですが、それでは理解したことにならないと、もやもやしてしまいます。もちろん、( )の中は先に計算するのは知っていてのことです。正確に区別して言葉にするなら「ひく カッコ開くマイナスイチの2乗カッコ閉じる」と「ひく カッコ開くマイナスイチカッコ閉じるの2乗」となるところでしょうか。

 

わかってる人からすれば「全然違うじゃん。」「何を2乗するかの問題だよ。」という話です。でも、私からすると、「どちらもマイナスイチを2乗するのはわかってるよ。」となります。「いや、左は1の2乗で、右は-1の2乗。」と説明してくれても、「いや、左もー1の2乗だろ?」というふうに返します。別に、くってかかっているわけではありません。わかりやすいよう、仮に-1を記号aで表せば、ー(a^2)と-(a)^2なのですから、同じはずだという理由も持っていました。

 

友人の説明では、どうしても納得がいかず、意を決して授業中に質問しました。今習っている単元の締めくくりで、次の時間には別の単元に入るというタイミングでした。「みんなわかったようだから…」という感じの話の後だったと思います。きっとクラスで私一人わかっておらず、まずいぞという焦りがあったのでしょう、手を挙げた瞬間は、周りで参観している先生のことはすっかり視界の外でした。そう、その日は、公開授業でたくさんの先生が見に来ていたのです。

 

「質問があります。」と手を挙げた瞬間、担当の先生のちょっと硬直した表情を覚えています。指名されて。立ち上がった時に初めて(あ、他の先生もいたんだ)と気がつきました。意識した後、急に緊張して、足が震えてきたのも憶えています。でも、もっと驚いていたのは先生のはず。もう少しでスムーズに授業が終わると安心しかけていたのではないでしょうか。後になって先生の顔はそんな風に思えました。

 

 内心(しまった)と思いつつ、ここで何も言わずに座る方が、ざわついた雰囲気をさらに険悪な空気にしてしまいそうで、混乱しながらも自分なりに理由を述べて質問してから座りました。ただ、上手く理由が言えたかどうかは覚えていません。授業の残り時間も少なかったはずです。先生は、きっと丁寧に話してくれたのでしょうが、既に私の頭の中は真っ白になっていて、話が全然入ってきません。もう、「はい。」、「はい。」と答えるだけ。最後に「わかったかな?」と聞かれたとき、嘘でも「はい」とは言えず、「もう少し考えてみます。」と答えたと思うのですが、これは度々ある勝手な記憶の上書きのような感じもしています。

 

後日、数学の授業中に、私の質問が話題になりました。詳しくは覚えていないのですが、「他の先生も大勢いる中で、きちんと理由を言って質問できた」ことを誉められたのだけは覚えています。下手すれば先生の顔に泥を塗るところだったので、ホッとしました。もっとも、私一人だけのために単元を遅らせるわけにもいかないのは致し方ないこと。授業は次の単元の学習に入りました。

 

ただ、一人だけわかっていない私は、どうしても何とかしないといけない状態でした。公開授業で質問してしまったので、何だか多くの先生から注目されているように思い込んでしまったのです。これは結構プレッシャーでしたが、一度開き直ったせいもあるのか、ある瞬間に、す~~っと謎が解けた感じで、理解できました。

 

問題の「 ー(ー1^2)とー(-1)^2の違い」を「-1を記号aで表せば、ー(a^2)と-(a)^2だから同じ」と考えたのが落とし穴だったのです。

-1^2は、「マイナスの(1)^2」であって「(マイナス1)の^2」とは別物。もう、あっさりというか、なんで引っかかっていたんだろうっていう感じですよね。

でも、このおかげで、「-1とは、1という数字にどんな1かを示す記号「ー」がくっついたのであって、-1という数字ではない。」こと、2乗されるのは、( )があれば( )で仕切られた数式、なければ直前の数字または代数であること、など整理できました。加えて、普段つかっている自然数(1,2,3,4,5…)も、本来はどんな数字かを示す記号「+」がくっつた数字(+1、+2、+3、+4、+5…)とするところですが、日常で特に意識することがないので省略しているだけだとわかりました。

 

何より、一番の収穫は「マイナスの(1)^2」と「(マイナス1)の^2」を明確に区別してくれた「の」の威力です。助詞とはよく言ったもので、本当に思考を助けてくれる「の」でした。注意すべきは、人から言われたのを思考せずに受け入れると、助詞として機能しない場合がある点。上で友人に「左は1の2乗で、右は-1の2乗。」と教わった時には、区別ができなかったですから不注意そのものです。人から聞いた言葉がすぐにわからずとも、自分に合った表現方法で噛み砕いて考えることは、理解するのは良い方法だと思います。