tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

tn106.西田敏行さんの印象に残る作品群

西田敏行さんの訃報を、今日の昼過ぎにスマホのニュース通知で知りました。享年76歳とのこと。突然のことで驚いています。亡くなった当日も仕事の予定を入れていたそうです。お悔やみ申し上げます。 

 

これまでにたくさんの出演作品やトークを見てきたので、いろんなことが思い出されてしまいます。また一人、時代を象徴する人が亡くなった気がします。

 

上手くまとめられそうにないですが、以下、思いつつまま、書き留めておくことにしました。

 

 

歌『もしもピアノが弾けたなら』

このブログで、西田敏行さんの歌に言及したことがあります。

歌詞で一番印象に残っているのは 、

だけど ぼくにはピアノがない きみに聴かせる腕もない

心はいつでも半開き 伝える言葉が残される

の部分。私には何かにつけ、心を全開にして伝えられたと思ったことが無く、この歌詞を聞く度、どんな手段でも半開きになってしまうよなぁと思います。思いを伝えることの難しさに、そうだよなぁと納得してしまいます。

 

ドラマ『池中玄太80キロ

パートI(1980年4月5日~6月28日)、パートII(1981年4月4日~8月29日)の両方とも毎週観ていました。西田さんの民放の連続テレビドラマ初主演作だったそうです。

 

ちなみに、番組タイトルは、当時の西田さんの体重が80kgだったことからつけられたと聞きました。おかげで、80kgは、痩せているとは言えないけれど、動きづらい程の体系でもないイメージができました。もっとも、身長のことなど不明ですけど。

 

ドラマの概要

主人公のカメラマン池中玄太は、3人の娘(絵理、未来、弥子)がいる未亡人鶴子と結婚。3人の娘が、玄太との距離を少し縮めてきた頃に、妻鶴子が亡くなってしまい、玄太と娘3人との共同生活をすることになります。家族とは何か?を問いつつ、トラブルも頻発しつつ、互いに理解を深めていくストーリー。

 

印象に残っているシーン

一番印象に残っているのは、玄太が鶴を撮影するシーンになるでしょうか。

 

冬の北海道で鶴の生態を撮影する玄太。雪原に舞い降りた鶴が、悲しくも聞こえる鳴き声をあげながらの求愛ダンスを、熱心に撮影するシーン。これが何とも言えない皮肉を含んでいるのです。鶴の求愛に感動する玄太は、遠く東京に娘3人を置いたまま。

鶴の求愛ダンス イメージ

ドラマの中でも、玄太の周囲の人は、玄太が娘を大事にしていることは十分承知しつつ、たびたび3人の娘の近くに居た方が良いと勧めていたように記憶しています。「ライフワークと家族」もドラマのテーマになっていたのだと思うのです。

 

もう一つ挿入歌

前述した『もしもピアノが弾けたなら』は、このドラマのパートIIの挿入歌でした。確かレコードも買ったはず。

 

もう一つの挿入歌は『鳥の詩』(杉田かおる)で、別れと巣立ちを歌っています。

あなたがいた頃は 笑いさざめき

誰もがしあわせに見えていたけど

人は人と別れて あとで何を想う

鳥は鳥と別れて 雲になる 雪になる

 

私には、『もしもピアノが弾けたなら』と『鳥の詩』にメッセージ的なやりとりがあるように思えます。ライフワークも3人の娘も大切にしたい思いを上手く伝えらずに悩む玄太と、父のもどかしさを見つつ、いつかは別れ、巣立つ時を迎える覚悟をする長女絵里。そのやりとりのような感じ。

 

親子の微妙に揺れる距離感を上手く描いていたと思います。

 

西田さんの映画シリーズ

釣りバカ日誌』シリーズ

西田さんの映画シリーズと言えば、まず思いつくのは『釣りバカ日誌』でしょうし、万人が認めるところ。渥美清さん主演による喜劇『男はつらいよ』シリーズの後を継ぐ感じで、西田敏行さん、三國連太郎さんコンビによるこのシリーズも長く人気を博しました。

 

それ以外に『学校』や『虹をつかむ男』シリーズにも主演。

『虹をつかむ男』シリーズ

『虹をつかむ男』シリーズは、渥美清さんが亡くなって『男はつらいよ』が制作中止になった際、渥美さんを追悼する形で撮影された作品。ラスト近くに山田洋二監督の「敬愛する渥美清に、この映画を捧げる」とのメッセージが添えられています。映画館で観ていたのですが、渥美清さんから西田敏行さんに喜劇シリーズのバトンが渡されたような気がしました。

 

作品は、地方の寂れた映画館を支える白銀活男(西田敏行)の奮闘ぶりを描いています。長くシリーズを続けて欲しいとの声もあったようですが、第2作『虹をつかむ男 南国奮斗篇』までになりました。

 

『学校』シリーズ

第1作、主演の西田敏行さんは夜間中学の先生でした。第2作、高等養護学校の先生に。あまり知られていない学校の内側の描くことで、本来のあるべき学校や授業の姿に迫っていたと思います。

 

この2作は、生徒の置かれた状況を考えると重い内容でありながら、それに時に暖かく、時に厳しく接していたのが印象的。西田さんの、演技の幅を垣間見た気がします。

 

この他にも、たくさんの映画に出演していました。

 

テレビドラマ

西遊記

冒頭では『池中玄太80キロ』を取り上げましたが、西田さんを強烈に印象付けたのは、『西遊記』(1978年)でした。西田さんは猪八戒役。孫悟空堺正章さん、沙悟浄岸部シローさん、三蔵法師夏目雅子さん。三蔵法師役は女性が定番となったのはこの番組からだとか。

   

当時の私は中学生。西田さんの、ちょっと大人っぽい雰囲気を纏いながら、子どもじみた行動に出るのが面白かったですね。視聴率も、NHK大河ドラマの裏で大健闘。

平均視聴率は約19.5パーセント。最高視聴率は最終回の27.4パーセント。(中略)(最終回と)同日のNHK大河ドラマ草燃える』の視聴率は27.6パーセントであり、ほぼ同じ数字を記録している。

Wikipedia西遊記」より)

 

今なお、この時の猪八戒孫悟空沙悟浄三蔵法師を超える『西遊記』物を知りません。次点が手塚治虫の『悟空の大冒険』かしらん。

 

NHK大河ドラマ

大河ドラマの主役は4回、出演作品数は計14作だそう。その内、1990年(平成2年)の『翔ぶが如く』で西郷隆盛役を演じる際のエピソードが印象的。幕末の時代、薩長連合と福島藩は激しく対立した経緯があるので、故郷福島(会津)の友人に相談したところ、「長州は駄目だが、薩摩なら大丈夫だ」と言われたので出演を引き受けたとのこと。この話の真偽はともかく、その話が出せる辺りが、西田さんらしいなあと思いました。

 

その他

探偵ナイトスクープ』の司会、アニメ映画『がんばれ!!タブチくん!!』で主人公タブチくんの声を担当、NHK紅白歌合戦の司会や審査員、歌手出演等、お茶の間を沸かせる術に長けていたと思います。また、東日本大震災の復興応援、政治への言及、反戦平和等々、必要だと感じれば自身のスタンスを隠さず発言する姿も好感が持てました。

 

さらに、とぼけたり、お調子者だったり、強面だったり、優しかったり、一途だったり、本当に演技の幅が広く、周りを楽しませてくれる方という印象です。

 

出演作など書き記したいことがまだまだあるのですが、あまりにたくさんで一度に書き切れません。初めて知った頃からもう45年程。思い返すほどに、強く影響を与えてくれた人だと感じます。

 

西田敏行さん、素敵な作品群をたくさん、ありがとうございました。

安らかにお眠りください。

 

 

 

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