帽子の色当てパズルには幾つか種類があります。ここでは、最も基本的な問題を紹介します。
<問題>
教官が、丁寧に考える3人の学生を階段に並ばせた。
1番低い段にA、2段目にB、1番高い3段目にCの順。
教官「全員、アイマスク(目隠し)をするように。これから3人には、赤か白の帽子をかぶせる。その内、少なくとも一人は赤い帽子だ。アイマスクを外す前に約束がある。外した後に決して後ろや自分の帽子を見ないこと。いいかね。」
3人「わかりました。」
アイマスクを外させた後、教官は上の段にいるCから順に質問をする。
「Cは、自分の帽子の色がわかるかね?」
Cは前に立つA、Bの帽子を見て、少し考え
「わかりません。」と答えた。
続いて、教官は中段のBに質問する。
「Bは、自分の帽子の色がわかるかね?」
Bは前に立つAの帽子を見て、少し考え
「わかりません。」と答えた。
そして、下段のAに質問する。
「Aは、自分の帽子の色がわかるかね?」
Aはすぐに答えた。
「はい、わかりました。」
さて、Aの帽子の色は何色でしょう?
<答え>
このパズルは、答えが当たっただけでは、全然、納得できないのが魅力です。
答えの理由がわかる人は、先に答えを見て、納得してください。
まだ答えがわからない人は、答えを見るより先に<ヒント>を見て理由を考えた方が、パズルを楽しめると思います。
Aの帽子は、赤色。
(※ぼかし部分にカーソルをあてる、またはタップで字が見えます。)
<ヒント>
この問題は、「少なくとも一人は赤い帽子」という条件がある上、当事者のCとBが「わからない」と答えていることが手掛かりになります。
個々に考えてみましょう。
(※ぼかし部分にカーソルをあてる、またはタップで字が見えます。)
Cに見えたもの
帽子の色の組み合わせは、A、Bの順に
「赤、赤」、「赤、白」、「白、赤」、「白、白」の4通りです。
仮に、A、Bの帽子の色が、順に、「白、白」だったら、「少なくとも一人は赤い帽子」という条件があるので、Cは 「赤」と答えられるでしょう。
でも、「わかりません。」との答えだったので、
A、Bの帽子の色は、「赤、赤」、「赤、白」、「白、赤」のどれかです。
Bに見えたもの
Cの返答を聞いた時点で、Bは、A、Bの帽子の並びのパターンが、
(1)「赤、赤」、
(2)「赤、白」、
(3)「白、赤」、
のどれかだとわかります。
このことから、Aが「白」だったなら、(3)「白、赤」のパターンしかなく、Bは自分の帽子の色が「赤」だとわかります。でも、Bは「わかりません」と答えていることから、(3)のパターンではありません。
Aが考えたこと
Cが「わかりません」と答えているので、A,Bの帽子の並びは、
「赤、赤」、「赤、白」、「白、赤」3つの内のどれかだな。
Bも「わかりません」と答えているので、
A、Bの帽子の並びは、「白、赤」ではなく、
「赤、赤」か、「赤、白」のどちらかってことか。
ということは、どちらにしてもAの帽子の色は…
「赤」ってことだ。
「はい、わかりました。」
<まとめ>
このパズルは、誰かの「わからない」という結論が、別の誰かの大きなヒントになるという示唆があるので、印象に残っています。
「わからないなら意味がない」のか、
「わからないことにも意味がある」のか、
ひとまず、考えてみる必要を説いてくれる気がして、好きなパズルの一つです。
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