遊び56.渋滞と信号機と車間距離
渋滞が起きる理由
トイレ説
車の渋滞はなぜ起きるのか。渋滞の先頭車は何故動かないのだろう。
幼い頃、渋滞に巻き込まれた車の中で、こんな話をしたのを憶えています。
「一番前の車は何してるんだろう?」
「車から降りて小便でもしてるんじゃないか。」
「小便にしては長すぎる。大の方かな。」
「我慢できなかったんだね。」
「お、ちょっと動いたぞ。」
「あ~、また止まった。」
「そんなに何度もうんちするの?」
父兄私の会話です。何があったかは不明ながら、前の方の車が止まらないといけないことがあるからだろうと思っていました。
信号説
やがて、信号機が主な原因だろうと考えるようになりました。渋滞する車の横を自転車で通り過ぎた後で、前が青信号になると抜かれることが良くあったからです。何より、車が止まる一番の理由は信号だと思われました。信号や交差点の無い一本道では渋滞は起きないはず、そんな印象でした。高速道路で車が高速で移動できるのも、信号がないからだろうと思っていました。
ただ、高速道路でも、正月や盆で渋滞発生のニュースは聞きました。それは、料金所やサービスエリアで流れが止まるからで、その渋滞が本道にまで伸びたとき大渋滞が発生するというイメージ。あまりに車が集中すると渋滞は避けようがないとも考えていました。
科学雑誌の説
信号機の数と渋滞
ところが、高校時代に読んでいた科学雑誌を見て、考え方がガラリと変わります。当時の雑誌は手元に無いため、記憶違いがあるかも知れませんが、憶えている内容をまとめてみました。
図にするとこんな感じ。aとbでは、信号の数が違います。今は赤信号で車の列ができています。そこへ青い車が列の最後尾の黄色い車に迫っていると考えてください。
このとき、aでもbでも、青い車は止まるためにアクセルから足を離して減速中で、ブレーキを踏むタイミングを測っていると思います。(これだけ近づいていたら、もうブレーキを踏み始めていて当然という感ですが、ブレーキを踏む直前だということで)
丁度その時に、信号が青に変わりました。
ここで問題です。
青信号に変わった直後、動き出せるのは何番の車でしょう?(急発進は厳禁)
なお、6は停止していないので除外します。答えはaとbで違ってきます。
(ぼかし部分をクリックまたはタップで読めます)
aの場合:1の1台のみ
bの場合:1,3,5の3台
続いて、青信号になって3秒後の図です。なお、静止状態から、車1台分(約5m)進むのに3秒と仮定しています。
この時点で、ゆっくりでも動いて良さそうなのは何番の車でしょう?
ここでもa,bで答えが違ってきます。もちろん急発進は厳禁です。
a:1,2の2台
b:1,2,3,4,5,6の6台
また、青い車はブレーキが必要でしょうか?
a:ブレーキが必要
b:十分に減速していればブレーキは不要
以上のような話でした。つまり、渋滞は適度な車間と速度が維持されないことが一番の原因という話です。
ちょっとした衝撃でした。もちろん、信号機の間に何台の車が、どの位の間隔で止まっているかによって状況は変わりますが、この説明からすれば、場合によっては信号は渋滞を緩和させる機能もあると言えます。
車の集中と速度
もう一つ納得できる話として、車の集中がありました。単線で100mの道があったとして、そこに車両の長さ5mの車が20台入るはずがありません。ある区間に入れる車両数は一定の限度があります。その区間の先頭の車が出る速さより、その区間の最後尾に付く車の方が速い程渋滞は伸び、遅い程渋滞は短くなります。これは、後ろに付く車がゆっくり走るほど、渋滞が緩和されることを意味します。ここまでは理屈として理解しやすいのですが、高校時代の私の理解もここまででした。
運転者の心理
しかし、一般に運転者からすれば、渋滞ができる前に通り過ぎたいという心理が働きやすいです。これは、多くの人が考えるところでしょう。しかし、渋滞の起きている現場では、まるで渋滞を拡大するために次から次へと車が突っ込んでくるように見えているはず。結果的に、渋滞になるから早く行こうとすればするほど、早い時間帯から長時間の渋滞に巻き込まれやすいというジレンマが起きることになります。
そのジレンマから逃れるために、集中する時間や期間をずらして移動することが徐々に一般的になってきました。車の過度の集中が起きれば、渋滞は避けようがありません。移動の時間帯や手段を選ぶことが、渋滞を避ける一番の方法と言えるでしょう。
渋滞のストレスを緩和する方法
科学雑誌には、一定の車間と速度を保つだけである程度の渋滞を緩和することが可能とも書いていたと思います。もちろん、一人の運転だけで何とかなるものではないとも。
一方で、一人の運転でも気をつけると、ある程度の緩和は期待できるとも。渋滞になっても、減速運転で車間を詰め過ぎないことで、静止から発進までの時間が数秒は緩和されます。さらに、空間的に窮屈さが緩和されることで、イライラすることも減り、渋滞のストレスが軽減するとの話もありました。
運転するようになってからも、半信半疑ながら、ストレスの低い走り方を心掛けていました。もちろん、車の混雑具合等で、そうもいかないことはあります。また、止まるよりゆっくり進む方がストレスになる人や、車間を空けると渋滞が起きると考えている人もいて、あおり運転を誘発してしまうケースもあるそうです。その辺も難しいところ。
後に、映画館でシネマコンプレックス形式が普及した時に気づきました。満席であっても、ひじ掛けに手を置かずにゆったり座れる席と、ひじ掛けの奪い合いが起きやすい席。上映開始から最後まで人が動かず落ち着いていられるシステムと、上映中でも、途中から見始めた隣の人が途中で出て行く従前のシステム。シネマコンプレックス形式だと、一回の入場料で2回観られないのは非常に残念ですが、快適に観ると言う点では以前の形式より優位に思えます。
変な考えかも知れませんが、科学雑誌の記述に納得したのでした。
渋滞吸収走行
そして、最近になって、渋滞を解消する「渋滞吸収走行」なるものを知りました。
これについては、長くなるので別の記事にします。