今日2月1日は2022年の春節、旧暦の元日にあたります。
今日、googleで「春節」を検索した人は、おぉ!と思ったことでしょう。
旧暦元日(春節)と立春
実は春節(旧暦の元日)は年によって、新暦とずれ幅が変わります。ちょっとややこしいので、ここでは、こちらのサイトを参考にしました。
現行の新暦は通常1年が365日で約4年に1度366日の閏年となります。しかし、旧暦は月の動きを基準にしていたので、新月から次の新月までの一ヵ月が平均して29.5日となります。1年は12ヵ月なので、29.5×12=354日になってしまうのです。そこで、旧暦には閏月(1年の内の13カ月目)を入れて暦を調節していました。ただ、閏月の入れ方は複雑で私もよくわかりません。そんなこともあって、機械的に旧正月を新暦に当てはめると、約20~50日(約3~7週間?!)ものズレが生じてしまうので、閏月を入れるなどしてズレ方を変えるのです。
もちろん何年かに一度は立春と元日が重なる場合があります。その時は節分の翌日が立春&旧暦正月となる「立春正月」になります。これらによって、鬼退治に豆まきをした節分の翌日が立春で旧暦元日と思い込む人が多いのだと思われます。
何故「来年の事を言えば鬼が笑う」のか?
前置きがずいぶん長くなりましたが、ここからが本題。
上記までを読んで
「え?待て。つまり旧暦だと、大晦日が節分てことがあったの?」
と思ったあなたは鋭いです。
今年の春節(旧暦の元日)は2月1日。そして節分は2月3日です。旧暦の感覚で言えば、新年が明けた後2日遅れで節分を迎える形です。
別の年には、春節より節分が早く来ることもあります。旧暦2021年の春節は新暦の2月12日にあたり、節分や立春より遅かったのです。これを「(旧暦2020年の)年内立春」と言います。さらに旧暦2021年の大晦日は、新暦2022年の1月31日です。つまり、旧暦2021年は立春の後で春節(元日)を迎え、次の立春の前に年を越します。よって、旧暦2021年は立春のない「無春年」となっていたのです。ちょっとややこしいですが、ここでは、年によって春節(元日)と節分の並びが入れ替わるということを抑えてもらえたらOKです。
<20220202:誤解を招いたようなので追記します。>
<紛らわしくてごめんなさい。ここから下は私が創作した話です。>
「さて、節分と言えば、豆まき、鬼退治です。(今回、恵方巻は無関係)
旧暦の頃は、豆をまき、鬼退治をしてから新年を迎えることがありました。
一方で、新年を迎えてから鬼退治をすることもありました。
「来年の事を言えば鬼が笑う」は、この暦の複雑さが原因です。
小さな子にとっては、この区別がなかなかに難しいのです。
新年より先に節分だった年なら、豆をまくたび「鬼は~外!」と言い、鬼が逃げた後に「来年が良い年になりますように」と願掛けをすれば正解です。
でも、新年より後に節分を迎える年は、鬼が逃げた後に「来年も良い年になりますように」と願掛けをしてしまうと、鬼役だった人は、(ああ、まだこの子は節分と正月の区別ができていない)と教えるために、逃げるのをやめて「わ~~はっはっは~~」と大声でしかも不気味に笑いながら近寄ってきたのです。
子どもは笑われて、言い間違いに気づき、「今年が良い年になりますように」と言い直します。
当然、逆の場合もあります。
「今年が良い年になりますように」と願掛けしたものの、「来年が良い年になりますように」が正解だった場合。鬼役だった人は、(ああ、まだこの子は節分と正月の区別ができていない)と教えるために、逃げるのをやめて振り返り、怖い顔で首を左右に振りながら、じわりじわりと子どもに寄っていくのです。
子どもは首を振る鬼を見て、言い間違いに気づき、「来年が良い年になりますように」と言い直したのです。
かつては、これを「今年のことを言えば鬼が首を振る」と言っていました。
不思議なのは「来年の事を言えば鬼が笑う」だけが残り、「今年のことを言えば鬼が首を振る」と言われなくなったことです。何故か?
その答えは意外と単純です。
「来年のことを言えば鬼が笑い、今年のことを言えば鬼が首を振る。」
となると、子どもは「いつのことを言えばいいの?」となるからです。
庶民の間では、聞かれた大人もその説明が難しく、尋ねられないように後半部分は使われなくなったのではないかと推測されます。
しかし、「今年のことを言えば鬼が首を振る。」が消えた決定的な理由は別にありました。旧暦が公で使われたのは1872年(明治5年)までだったのです。
翌年から新暦が始まり、この時から元日の前に節分を迎えることは無くなりました。つまり、鬼退治の後は「今年が良い年になりますように」が正解だと確定したのです。この時から、「今年のことを言えば鬼が首を振る。」があり得ない話になりました。残ったのは、鬼退治をして「来年が良い年になりますように」と言ってしまった時だけ、つまり鬼が笑うパターンのみになったのです。
でも、新暦では元日と節分は一ヵ月以上離れていますから、いつの間にか「今年が良い年になりますように」という願掛け自体が無くなりました。結果、「来年の事を言えば鬼が笑う」がどういうときに使われていたのかも忘れられ、言葉だけが浮遊して今に残ることになったのです。」
という話を今回、事実を織り交ぜながら、こじつけて作ってみました。
この話を鬼にすれば、鬼は笑ってくれるでしょうか?
今年の事ですけど。
今週のお題「鬼」