虫食い算と論理パズル
前回の記事では、LSSさんのアイデアをお借りして虫食い算も出題しました。
掛け算の筆算問題を再掲します。字のぼやけたところにカーソルを持っていけば字が鮮明になる仕組みです。
29
× 35
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145
87
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1015
虫食い算に慣れていない人には難度が高く感じられたようです。数字や虫食いを見て一つ一つの計算が大変だと思い、敬遠してしまう人は少なくありません。
でも、虫食い算は計算の試行錯誤をしなくても理詰めで解けることも多いです。論理パズルに通じる部分があるのは虫食い算の魅力の一つ。それ故に、何故その数字がそこに入るのかと納得できた爽快感は格別です。
今回は論理パズル的な部分に焦点を当ててみます。
説明しやすいように、筆算を画像にし、虫食いにA~Iまでのアルファベットを配置します。
すぐわかる数字はすぐ書き込む
まず、明らかに確定できる数字は先に書き込みます。
答えの一の位が5なので、E=5なのは明らか。
続いて、千の位は繰り上がりでできた数とわかるのでG=1です。
予想しやすい数字を見つける
ここでFに注目。有無は不明ながら十の位から繰り上がりと1とFを合計すれば繰り上がっています。このことからFの候補が絞られ、Fは8か9と考えられます。
つまりAB×C=F7は、AB×C=87 か AB×C=97のどちらかです。
でも、97は素数なので掛け算の答えにはなりえません。
したがって、F7=87と確定できます。
私の感覚だと、これにパッと気づける人は、虫食い算中級です。
ああ、なるほど、と全部の虫食いをさらさらっと解けたのではないでしょうか。
ヒントは他にも
97が素数だと気づけなくてもヒントはまだあります。
AB×5で3桁の答えになり、百の位が1になるのは、Aが2か3の場合のみです。
一方でAB×Cでは2桁の答えですから、Cは5より小さい4,3,2,1どれかです。ここで注目したいのがAB×Cの答えの一の位が7であること。実はこれも大きなヒントです。
九九の答えで一の位が7
掛け算九九の答えで、一の位が7になるのはどんな場合があるでしょう?
すぐわかる人もいると思いますが、敢えて一つ一つ確かめてみます。
答えが7になる九九 1と7で成立します。1×7、7×1。
答えが17になる九九 ありません。素数です。
答えが27になる九九 3と9で成立します。3×9,9×3。
答えが37になる九九 ありません。素数です。
答えが47になる九九 ありません。素数です。
答えが57になる九九 ありません。19×3で成立しますが九九外。
答えが67になる九九 ありません。素数です。
答えが77になる九九 ありません。11と7で成立しますが九九外。
答えが87になる九九 ありません。29と3で成立しますが九九外。
答えが97になる九九 ありません。九九外でしかも素数です。
ここまでで答えは出ていますが、気づかないふりして続けます。
実は掛け算九九の答えで一の位が奇数になる場合は少ないです。
偶数×偶数=偶数、偶数×奇数=偶数、奇数×偶数=偶数 の3通りに対し
奇数×奇数=奇数 1通りしかありません。
言いたかったのはこれ。
掛け算の答えで一の位が奇数なのは有力な手掛かりです。
F7を見て、B×Cが1×7(7×1)か3×9(9×3)のどれかの組み合わせだとすぐ気づけた人は、虫食い算の初心者は卒業と言えそうです。
手にした条件を吟味する
青字部分をまとめると答えが導けます。
Aが2か3の場合のみ
Cは5より小さい4,3,2,1どれか
AB×Cの答えの一の位が7
B×Cが1×7(7×1)か3×9(9×3)のどれかの組み合わせ
これらを総合すると、Cは1か3です。
でも、C=1だと、Aが2でも3でも最終の答えで千の位が1にはなりません。
C=3しかありえないのです。
結果、 B=9となります。
そうなると、Aが3の場合、AB×Cの答えが3桁になってしまうので、あり得ません。よってA=2です。
虫食い算の楽しみ方
「ヒントは他にも」以降は、かなり強引に理由をつけた感じになりました。「九九の答えで一の位が7」では、答えが見えてないふりをして、説明を続けています。
ここで、言いたかったのは、よりスマート説明ができる答えを見つけるのも、虫食い算の楽しみ方と言うことです。
学校で習う計算の特性だけでは、虫食い算に立ち向かうのが難しい場合があります。でも、虫食い算に挑戦している内、自分で法則や特性を見つけられると、一瞬、世紀の大発見をしたのではないか?と大きな感動に包まれることもあります。
虫食い算の魅力、少しでも伝わったなら嬉しいです。