tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

泥ハネでズボンを汚さない雨の日走り

とある土曜日。サッカー部で雨中練習の後、部室で身体を拭き、体力づくりのために体操着(私の学年はえんじ色)に着替え終わった時。

「おい、グラウンドにボールが1個残ってるぞ!何してるんだ?!」

と先輩からお叱りの言葉。グラウンドにボールが残っていないか点検するのは後輩の仕事である。気をつけてはいても、普段あまり使わないゴム製のボールが混じったりすると起きてしまうことがあった。

 

<※ この記事は前回のスピンオフ記事です。>

未読の方は↓を先に読むことをお勧めします。

 

あらま。泥のグラウンドにポツンと佇むボールはどこか寂しそうだった。

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ぬかるみのサッカーボール

残ったボールを取りに行くのも後輩の仕事だ。しかし、先ほどまで泥の中を走って練習していたのだから、グラウンドはトンボ掛けをしていてもぬかるみ状態。グラウンドにたくさん足跡がつくのも、取りに行った際に体操着に泥ハネがつくのも嫌だった。

 

こういう場合、後輩同士でじゃんけん大会になる。もちろん負けた人が取りに行くのだ。そうして、私が負けた。

「早く戻らないと体力づくりが始まるぞ。」

これは(遅れたら罰だぞ)の隠れたメッセージ。

 

自転車通学の私は傘を持っておらず、強い雨でもないので、小走りで取りに行くことにした。こんな時のために私には秘策がある。泥ハネがズボンや背中につきにくい走り方だ。

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泥ハネ予防の雨走り

つま先立ちで、足を広げて走ることで泥ハネが背中やズボンの裾とは別の方向に跳ぶ。そのため、汚れは幾分(私のイメージの中ではかなり)少なくなる。名付けて雨の日走り。歩くより着地回数が少なくすむので、残る足跡も泥ハネが起きる回数も減るはずだ。

そんなに難しい技ではないが、傍目には滑稽な走りにしか見えないだろう。何にせよ、泥ハネも少なく、体力づくりに遅れることなく合流できた。

 

以前記事にしたようにサッカーは高2で辞めた。体力的にも、学習成績的にも、精神的にも続けられなくなった。サッカーに関わることも減り、記憶はかなり薄れていった。 

でも後に、雨の日走りの記憶が鮮明に蘇ったことがある。

 

高3の時に始まった新番組『わくわく動物ランド』。その番組で紹介された二本足で走るエリマキトカゲだ。

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二本足で走るエリマキトカゲ

テレビを見ていて大笑いしてしまった。エリマキトカゲは泥ハネを気にしないだろうが、その姿を見た人間の目には滑稽に映る。テレビを見ている私が正にそれだった。雨の日走りの私を見た人には、これほどまでに滑稽に見えたかも知れないと思った。

 

それでも、エリマキトカゲは臆することなく何度も二本足で走り出す。

笑いが止まらないばかりか、増幅されてしまう。

 

エリマキトカゲの二本足走りと私の雨の日走りを並べるつもりはさらさらないが、滑稽な姿にあれほど笑えたのは、自身の経験があったからだろう。

ああ、たとえ滑稽でも走る理由があってそう走るなら、それでいいじゃないかと気にしなくなった。

 

エリマキトカゲの走りは、その後CMでも取り上げられ、ちょっとしたブームになり、人を楽しませて時代を走り抜けた。

私の雨の日走りが世の注目を浴びたことは無いが、雨の中、傘無しで駐車場の車まで急ぎたいとき等、今でも心の中でクスクス笑いながら小走りしている。

 

 

今週のお題「雨の日の過ごし方」