tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

満月ではない今年の中秋の名月(1)十五夜って本当に満月?

 今年の中秋の名月(旧暦の8月15日の月)は10月1日ですが、満月ではありません。月齢で言えば13.7の月です。翌10月2日の月が月齢14.7の満月。ちなみに10月3日の月が月齢15.7の月。

中秋の名月の頃になると「中秋の名月が満月とは限らない(ただし、満月の時もある)」との話が薀蓄(うんちく)話として、一部でワイワイ語られている気がします。高校の頃から感じていたその辺りの謎をまとめてみます。

 

 

そもそも十五夜=満月なのか?

「うさぎ うさぎ なにみてはねる じゅうごやおつきさん みてはねる」

この歌にある十五夜のお月さんを勝手に満月だと思い込んでいました。満月にはうさぎが餅をつく姿が見えると聞いていたからでしょうか。

新月を1日目として、15日目に満月になり、その後15日かけて新月に戻るから、1月は30日間。当たり前だ思われているようですが、ちょっと待ってください。明らかに変です。わかりやすく、図で考えてみましょう。

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1日目が新月で15日目が満月。では満月から新月までは何日?

ここで新月を1夜、満月を15夜とします。でも、1夜も15夜も二日続くことはありません。新月の次の日は二日月ですし、十五夜の次の日は十六夜です。

つまり、

1日目の新月15日目の満月の間は13日です

同様に、満月から新月までの間も13日です。

新月(1日)→(満ち行く13日)→満月(1日)→(欠け行く13日)→新月

なので、月の満ち欠けの周期=つまり、1か月は28日が正しいとなるのではないでしょうか。それなら29日目は次の新月、30日目は次の二日月になるはずです。

簡単な計算上でこうした矛盾があるのに、ほとんど誰もこれを指摘しないことの方が謎に思いました。とは言え、私自身、気づいたのは高校生の時。当たり前だと思っているとなかなか疑問を感じないですね、

 

だって、1月=30日の方が計算しやすいもん。

1月が28日だと、二日分の給料が減るじゃん。

1年は365日でも円を360°としたように、1月は30日とした方が都合がいい。

いろんな言い訳はあるのでしょうが、少なくとも月の満ち欠けの周期が30日より少ないのは確かだろうと考えました。後に、旧暦では約3年に一度閏月が入り1年が13か月になると知って得心したのです。

 

月の満ち欠けの周期の謎

 15日かけて満月になり、そこからさらに15日かけて新月になる。

だから一月は30日だし、一月経つとカウントはリセットされる。

 これが、明らかな間違いだったならすぐ訂正されたのでしょうが、やっかいなことに「まあだいたい正解」となっているため、間違いが指摘されず、誤解し続けることになった気がします。

 

今の暦では、一ヶ月は30日とされます。しかし、31日や28日、29日の月もあります。

もし月の満ち欠けの周期が28日だとしたら、かなり大きいズレに思えます。

月の暦への関心が一気に高まることになりました。

 

月に見入ってしまう感覚

人間は月も好んで見ていたようです。私も月に見入ってしまうことがよくあるので、その感覚はわかります。

 

日没後、空がだんだんと赤から紫へと暗くなるにつれ、西の低い空でにくっきり見えてくる三日月。夕焼け空に見入っていると、誰もが気づく光景でしょう。宵の明星(金星)と並ぶと尚更、目を引きます。

あるいは西に沈む太陽を惜しんでいると、東からオレンジ色の大きな満月が顔を出し、まるで自分が二つの天体から注目を浴びているような気がしてきます。気分も高揚してつい踊りだしてしまうなんてことはさすがになかったですが、特別な夜になるかもってくらいの期待はしてしまいます。

   

月名を知る、そこから想像する

これをきっかけに、月の名前を調べまてみした。高校時代以外で知った名も含まれています。数字は、新月を1日目として、何日目にあたる月かを表したものです。ここにない月名もまだまだあると思います。

 

1.新月(しんげつ)朔(さく)

2.繊月(せんげつ)、二日月(ふつかづき)

3.三日月(みかづき)眉月(まゆづき)

7.上弦の月(じょうげんのつき)七日月(なのかづき)

8.八日月(ようかづき)

10.十日夜の月(とおかんやのつき)

13.十三夜月(じゅうさんやづき)

14.小望月(こもちづき)待宵月(まちよいづき)宵待月(よいまちづき)

15.満月(まんげつ)十五夜(じゅうごや)望月(もちづき)

16.十六夜(いざよい)

17.立待月(たちまちづき)

18.居待月(いまちづき)

19.寝待月(ねまちづき)臥待月(ふしまちづき)

20.更待月(ふけまちづき)

23.下弦の月(かげんのつき)

26.有明月(ありあけづき)

30.三十日月(みそかづき)

 

計算上、存在しないはずの三十日月があるのにも驚きましたが、これは実質、新月のことだそうです。また、月名が1日ごとについているわけではないことにも驚きました。十五夜十六夜という呼び名もあるのに、新月から何夜目かきちんと数えているわけではなさそうです。何となくとか、だいたいとか、いい加減というか、大らかというか、気分次第で名前を付けているような気がしてきます。でも、月を愛でることと、月を観測することとは別という感覚は好きです。

 

一つ思ったのは、月の名は、その時のその人の気分で呼んでいたんじゃないかということです。街角を走り抜ける子犬がいたとして「あ、ポチだ!」と言う人「タロ、こっちおいで!」と呼ぶ人、「おぉ、ハチじゃねぇか。」と近づく人がいるように(ほんとか?)、その人の感覚で愛でていた気がするのです。

 

かく言う私も、ゴジラの目、999の車掌さんの目、夜叉の面など、月の形からあれこれ見立てていました。

 

月を待つという感覚

「待つ」の字を使う月名が多いのは、昔、電気の明かりがなかった頃、夜の楽しみの一つが月を見ることであったからだと思っています。ろうそく等の明かりがあったとしても、長時間は持ちませんし、広範囲は照らせません。その点、月は沈むまで消えませんし、明るい月だと夜の景色をぼんやり浮かび上がらせてくれます。

今の時代の夜景と言えば、人工の光のある景色を指すことが多いですが、かつては、自然の淡い月明かりやホタルの明かり、そんな自然の景色を指していたのではないでしょうか。月明かりで自分の影や、集った仲間の顔、床を共にする相手も見ることができます。満月ともなれば、月光だけで散歩ができます。一人きりでいても、『悪女』の記事に書いたように、月に語りかけることがあったかも知れません。

満月以前であれば暗くなる前から月を見ながら周りが暗くなるのを待つ。満月を過ぎれば闇の中で月の出を待つ--。そんな昔の人々の楽しみが想像できます。

 

ちなみに、月の名前を調べていて、「十六夜日記」の読み方を知ったのでした。

 

更なる謎へ

この辺りまでが高校時代に感じていたことです。要約すると

  • 十五夜が必ずしも満月とは限らない。
  • 月の満ち欠けの周期は、きっと30日よりも短い。
  • 昔の日本人は、もっと月を楽しんでいただろう。

その程度の理解で終わっていました。調べる術があまりに少なかったのです。

でも、働きだした頃、月齢なる数値を知って、更に深い謎にはまっていくのでした。

 

(「満月ではない今年の中秋の名月(2)月齢と満月の謎 」に続く)