ツレ父が亡くなって今日で6日。まだ、喪失感は大きいのですが、ひとまず、病院ではなく自宅で最期を迎えたいというツレ父とツレの思いを果たせて良かったと思うことにしました。
最期をどこで迎えるのが良いかについては、個々の状況で変わるので、これがベストだとはなかなか言えません。それでも、自宅を選んで良かったと思ったことを書いてみます。
自宅でのケア「だから」できたこと
ツレ父の退院後、自宅で少しでもいい体験をさせてあげたいと、ツレとケアマネ(ケアマネージャー)さんとも相談して、用意した方が良いと思う物もの等揃えることにしました。
ベッドから離れての生活
ツレ父は主に和室での生活だったので、畳の上で座ることが多かったのですが、それだと立つのがとても大変です。ソファはありましたが、身体が横に倒れ込んでしまい恐く感じました。ただ寝たきりになるのはなるだけ避けたいとの思いから、一人分の幅で、手すり付き、背もたれの角度が変えられ、キャスターの無いしっかり安定した椅子を購入することにしました。
既にツレ父は普通に歩くのが難しい状態でしたが、店に備え付けのレンタル車椅子を借りられたので、店内を一緒に見て回ることにしました。少し身体が動かしにくくなった頃、杖をつくのを見られるのは恰好悪いと嫌がってたのですが、その時は、気持ちの切り替えもできていたのでしょう、車椅子に乗ってくれました。店内の通り道が広くて助かりました。
良さそうな椅子を選び、ツレ父に座ってもらうことに。車椅子から椅子に移るのが思いの外大変でしたが、試しに座ることもできないなら家に置いても使えそうにありません。ツレ父に体を密着した状態で車椅子から抱きかかえ、私の身体全体を軸にして椅子の前に移動させ、何とか座ることができました。それを何回か繰り返す内、汗もかきましたが、気に入った椅子を購入できました。
こうした買い物に出かけられたのは、自宅でのケアだからこそでしょう。
食卓を囲んで食べる
そのおかげで、ツレ父がベッドから離れて、ツレと私の3人で同じ食卓で食事をすることもできました。配膳途中でも、食べたい物があれば先に食べてしまうこともありましたが、それだけ食欲があったという証拠でしょう。
また、みんなで同じ食卓を囲むのと、一人だけベッド用の台で食べるのとでは、大きく違いがあるように思いました。既に小食になっていたのですが、それでも、こんなに食べられるんだと驚きました。入院前はヘルパーさんが食事を作ってくれていたのですが、食べる時は一人になるせいか、食べる量も食事に使う時間も少なかったようです。
お出かけと訪問
だんだんと身体が弱って、トイレが難しくなり尿バルーンをつけたままになりました。でもケアマネさんを通じてレンタルできた車椅子に乗ってなら家の中も移動できていた頃、訪問医からも無理がいかない程度なら車に乗って出かけても良いという話をいただきました。そこで、思い切ってドライブに出かけることにしました。
ベッドから車椅子に乗り換え、幸い玄関の段差も10cm程度だったので慎重に乗り越えることができました。ただ、玄関から先、4段ほどの階段が難関でした。
買い物の時と同じように、ツレが抱きかかえる感じでひとまず立ってもらいます。その間に車椅子を階段の下に運び、ツレと私二人で支えて、片足ずつ一段一段降りていきました。下まで降りて、車椅子に乗り、駐車場まで移動。乗り降りしやすそうだった助手席にゆったり座ってもらいました。
こんな状態なので、行く先で車から降りるのは難しいですが、景色だけでも楽しめたらと、ツレの運転で海辺の道を走りました。長らく海を見ていなかったらしく、喜んでもらえました。
また、なかなか会えずにいた人の家が近くにあるとのことで、突然ながら訪ねてみました。すると、運よく家に居て、車に乗ったままですが話をすることもできました。まだ動ける内に会えたのはよかったと思います。
好物を食べる
ツレ父は刺身が好きでした。普通に炊いたご飯が食べにくくなり、ゼリー状の栄養食やプリン等を食べるしかなかった時、食べられるか疑問に思いつつ、刺身を買ってきました。自分で箸を使えない状態でしたが、ツレが箸で小さく切ったのを、口の前に持って行くと、ぱくんと食べました。噛む力も弱っていましたが、小さくしたのを4切れ、通常の大きさで言えば刺身2枚食べることができたのです。
食事らしい食事はそれが最後でした。でも、病院では、刺身が食べる機会がないので、自宅ならではのことと言えそうです。
その他
他にも、好きな演歌歌手のDVDやネットの映像をテレビに繋いで楽しんでもらうこともできました。夕食後はすぐ寝ていたのに、つい夜遅くまで熱中させてしまったのは反省点ですが予想以上の反応でした。
また、コロナ禍にあって、病院では面会の人数や時間に制限があるところ、孫やひ孫が次々見舞いに来れたのも自宅だからこそだと思います。
メリットばかりではないのも事実
ただ、自宅での緩和ケアにこうしたメリットはあるものの、心配や不安、課題もたくさんあったのも事実です。それについてはまたの機会に書きたいと思います。
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