「めくり貧民」。前回のルール編に続き、今回は実践編。トランプの「大富豪(大貧民)」と「ページワン」、さらにカードゲーム「UNO」をミックスして、二人対戦特化型ルールで練り上げたトランプゲームの楽しさを紹介します。
ゲーム中の起きそうな事例問題も用意しました。理解が深まれば嬉しいです。
大富豪(大貧民)と「めくり貧民」の違い
まず、「めくり貧民」と大富豪の違いを知ってもらうための問題です。
大富豪(残りが相手と自分だけ)でこの場面なら、どのカードを出すといいでしょうか。(ジョーカー2枚と「2」の3枚は既に出ています。)
(大富豪もローカルルールがかなりあるのを前回の記事の下調べで知りました。ここでは、マーク(スート)縛り無し、カードの強さは、ジョーカー>2>A>…>4>3で、場を流した後にペア出しで上がるのも可とします。)
上がってないのは相手と自分だけの勝負どころ。でも、こちらは4枚目最後の「2」があるので、勝ち目は十分。というより、ダブルもあるのでむしろ優勢。最後残り1枚のカードの強さで勝敗が決まりそうな予感もあります。
相手の手札3枚が不明なので明確な正解は難しいですが、一般的なセオリーとしては、
(1)ダイヤの「9」で様子見。
続いて
(2)a.相手の出したカードが「J」以下なら、続いて「Q」。その後は、相手のパスの有無に限らず、現状で最強の「2」を出し、最後「4」のペアを出して必勝。
となるところでしたが、
(2)b.相手が出してきたのは、ダイヤの「K」でした。
ここは、「2」を出すか出さないかです。
一番の問題は相手の残り2枚がダブルであるかどうか。
大富豪では、次に上がれる宣言がないので、どちらか不明です。悩みどころです。
「めくり貧民」だと、次にダブルで上がれるなら「リーチ」宣言が必要になり、ダブルかどうかが確実にわかります。ですから宣言があれば、「2」を出すしかありません。しかも、相手は「2」を持っていないので、2枚を山札から取らせることもできます。逆に、宣言が無ければ、ダブルではないことが確定なのでパスの選択もありです。ただ、その場合、山札から1枚引かないといけないので、手札は増えます。
(3)「2」を出すなら、
- (3)c.相手にダブルは無いと決めて「4」のダブルを出し、最後「Q」。
- (3)d.相手に「K」以上は無いと決めて「Q」を出し最後「4」のダブル。
の2者択一になるところ。
ただ、Q以上を出して相手が残り2枚の状況で、それがダブルである確率は低そうです。こちらが「2」を持っていることを知っているはずですし、記憶の確かな人なら、4のダブルを持っていることを知っている可能性もあります。仮に相手のダブルが最弱の3だとしても、ジョーカーで場を切った後はダイヤ「6」ではなく、ダブルを出して残り2枚で場を流してから「6」を出し、残り1枚にしてこちらの出方を待つ方が、相手に有利だと思われるからです。相手の手札が不明なので、絶対ではないですが、ここでは(3)cを狙う方が高い勝率になりそうです。
(4)相手がダブルでないと思うなら、あえて「2」を出さず、パスの選択もあります。どんな1枚を出してこようと、そのタイミングで現状で最強の「2」を出し、相手にパスをさせ、続く「4」のダブルで相手はなす術がなく、「Q」を出せば上がりとなります。相手にダブル無しならこちらの方が確実ですね。
大富豪でこの場面なら、相手は圧倒的に不利。負けを覚悟してもおかしくない所です。
「めくり貧民」の醍醐味
しかし「めくり貧民」では、まだまだ油断なりません。相手が逆転する余地は十分あるのです。常にマーク縛りのあるルールで場のマークはダイヤ、更に相手に2枚取らせるダイヤの「2」を持っていても、安心できないのです。
上で使った大富豪とほとんど同じの場面から、考えてみてください。(ジョーカー2枚と「2」の3枚は既に出ていて、山札には無いとします。)
上の場面で相手の狙いを考えると、こちらが「2」を出すのを待って、「A」が最強カードになった時点で出し「リーチ」宣言、場を流してハート「7」で上がるという感じでしょうか。先にハート「7」を出さなかったのは、マークがハートだとその次に切るカードがないからでしょう。カードが出せないと、カードを1枚引かねばならず、手札が増える可能性が大きくなりますから。
何にせよ、ここでは大富豪と同様、ダイヤ「9」を出して様子見。そして相手も同様、ダイヤ「K」を出してきました。その際、相手は「リーチ」宣言しませんでした。つまり、残り2枚はダブルではないと判明。となると、後は、現時点で最強のダイヤ「2」を出し、「4」のダブルを出せば、相手はパスとなり、最後「Q」で上がりの勝利確定です。
そう確信してダイヤ「2」を出しました。
勝利を確信しているので、余分なカードを引かせて形勢逆転を恐れ、2枚引かせるのは止めました。相手は普通にパスをして、1枚引きます。そして、「4」のダブルを出してリーチ棒投入、「リーチ!」宣言です。
相手にはダブルが無いので、パスするしかありません。2枚組を出されてのパスなので、相手は山札から2枚引きました。
なんと、2枚引いた時点で、相手の手札に「5」と「7」二つのダブルが完成してしまいました。引いた直後の完成なので、相手はこちらが1枚しかないので余裕たっぷりに「5」のダブルを出しました。恐らく、次に現在最強のカードを切って「リーチ」宣言をし、「7」のダブルで上がりを狙っています。絶体絶命のピンチ!
しかし・・・?!
結局、運よくこのピンチを脱出することができ、あなたは勝利しました。
何が起きたのでしょう?少し考えてみてください。
わかりましたか?
引いて完成した「Q」のダブルを出してリーチ!
もちろん、この後、相手がパスをして2枚引いた中に「A」が入っていたら、「A」のダブルが完成して逆転される可能性もありました。でも、幸運にもそうはならず、あなたは最期にスペード「3」を出して、見事勝利したのです。
形勢の逆転に次ぐ逆転が「めくり貧民」の魅力
上の実践編で気づいた方もいるかと思いますが、こちらがダイヤ「2」を出した時、相手に2枚取らせるかで悩む場面がありました。もしあの時、相手に少しでも手札を多く持たせてやろうと考えて、2枚取りをさせていたら、順番的に最後に引いた逆転のハート「Q」は相手方に回っていました。そうなっていたら、こちらにダブル「Q」は完成せず、負けることになった可能性が高かったでしょう。
終盤、競ってくると、引いたカードで逆転に次ぐ逆転の応酬になることも珍しくありません。一方、場にある台札のマークと手札がうまくかみ合わず、何度も引き続けるといったじれったさも生じます。
例えば、相手がハート「4」を出し、こちらにハートが無いので引いたらスペード。そこに相手が続けてハート「6」が出し、こちらはまたカードを引くという展開。それが続いて、手札の枚数に大きな差ができたとしても、引いたカードで同じマークの連番4枚ができれば、チャンスが来た時に一気に逆転も可能です。その場合、こちらは4枚減らし、相手は4枚引かなければならないのですから。
勝負が決まるかどうかのハラハラが続くので、熱くなってくると
カードを引くときに「クラブ「J」来い!」と、つい言ってしまうことも。
そのうっかりな一言で逆転される切っ掛けになることもあります。
形勢が逆転に次ぐ逆転で進んで行く「めくり貧民」。
手に汗握ること請け合いです。
ルールに慣れるまで少し時間がかかるかも知れませんが、慣れればきっとハマるほどの楽しさがあるはずです。興味あれば、是非どうぞ。
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今週のお題「ゲーム」