tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

屋根瓦のペンキ塗り(2)映画館に行くぞ!

瓦のペンキ塗り1枚5円の仕事。その収入で映画館に行けたのか?

再挑戦は1983年6月26日(日)でした。前回は160枚で打ち止め。かかった時間は約3時間。途中休憩を除けば、1枚を塗るのにかかる時間は約1分。最低限の目標300枚(1500円)には残り140枚ですが、できればさらに上積みした400枚(2000円)を目指したかったので、そうなると残り240枚、4時間かかる計算です。 

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ペンキ塗りの収入で映画館に行ける?

 ※ この記事は「屋根瓦のペンキ塗りをして映画館へ行こう!」の続きです。

そこで、初日と違って、午前中から取り掛かることにしました。

屋根に登ってみると、塗った屋根と塗ってない屋根のコントラストがくっきりと見えました。頑張った甲斐があったとちょっと嬉しくなり、モチベーションも上がります。

「たてたて~♪」「ぺたぺた~」「す~り、す~り、す~りすり」

鼻歌交じりにリズムよく仕上げてていきます。

 

天気も良いです。空の青に塗った緑が輝いているように見えました。

「緑が~ 空の青さに輝いて~ 」

と、キャンディーズの『夏が来た』も口ずさんだものの、6月26日ですから、既に夏です。(これは暑くなるぞ)と逆に気持ちも、タオル鉢巻もキュッと締めることに。

なるだけ午前中に進めて置いて暑いお昼時を避けようと父と話していましたが、昼食にはまだ早い頃、父の方が早く音を上げました。

「暑い、たまらん。先に昼休憩にする。」

これには少し驚きました。自転車小屋や鶏小屋を一人で作った父です。

こつこつ作業ができることが父の良さの一つだと思っていただけに、意外でした。

私も既に汗で身体中がぐっしょり濡れてましたが、まだやれると思っていたので、(老いたな父上・・・)とガンダムのギレンの台詞が頭をよぎります。いつか子どもは父を超えるってこういうことなんだな、とそんな感慨も持ちました。

父が降りても、しばらく一人で作業を続けましたが、今日中に終わるのは確実なペースではあったので、私も暑い時間帯を避けて仕上げることにしました。シャワーも浴びて汗を流したように思います。

 

15時を過ぎた頃だったか、そろそろ再開しようと提案したのですが、父はまだ暑いからもう少し待つとのこと。再び(老いたな父上・・・)と内心で思いながら単身屋根に。

 

ところが!屋根の上は予想を上回る暑さ。屋根瓦の光の反射がきついのです。これはたまりません。この時になってようやく父が早く音を上げた理由がわかったのです。

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ペンキ塗りの計画

父の担当は東側。午前中、東にあった太陽の光は、屋根に反射して父を集中攻撃していたはず。その中で父は作業を続けていたのでした。まだまだ父は強かったのだと思い直しました。

屋根塗りの記憶が鮮明なのは、きっとこのせいだと思います。

私はすごすごと屋根を下り、もうしばらく待つことにしました。

この時になって、今日中に作業が終わるのか、映画館に行けるのか?と不安になりました。

 

結局、再開したのは夕刻の少し前。それでも、夏至の頃なので日暮れまでに間に合いそうです。父は、はしごを用意しました。もうすぐ、計画の図でBの作業に入るため、東側では瓦が踏めなくなり、テラス側に移動できなくなるからです。

私も程なくBの作業に入りました。

先週ペンキを塗った場所を右に見ながらの作業です。塗ってある瓦は輝いて見えます。太陽光の反射はきつかったですが、それゆえに、何だか誇らしくも思えました。

 

 作業が終わったのは日の入り頃。先に父の方が終えていました。

(認めたくないものだな、自分自身の、若さ故の過ちというものを。)

今度は内心、『ガンダム』のシャアの台詞を呟きました。

 

手帳のメモによると、最終的に塗った瓦の枚数は、初日に160枚、2日目280枚で計440枚。屋根の端等で1枚に満たない瓦を塗った分が、換算して約20枚分。総計460枚で2300円で目標達成です。父はそれに上積みをして、3500円くれました。映画2回分に相当する額でした。

ちなみに、その後直近で観たのは、1983年7月13日に名画座でのリバイバル風と共に去りぬ』。続いて7月30日に『南極物語』です。

 

バイト代としては、8時間程で3500円ですから、時給にして500円にも届かず割の悪い仕事となるでしょう。期間もわずかに2日。でも、大学時代に経験したもっと割の良い、長く続けたバイトより記憶が鮮明な気がします。貴重な体験でした。

 

 

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<余談>

この仕事には、後日談があります。

その年の冬だったと思いますが、雪の少ない地域ながら、珍しく数cmも積もったことがありました。家の中にいた時、不意に、ざざざざ~っ、ぼとぼとぼとっと屋根の雪がまとまって滑り落ちたのです。

軒下に雪の山。外に出てみると、付近で雪が滑り落ちたのは我が家だけの様子。

「ペンキを塗り替えたからだろう。」

とは父の弁。もし、軒下に出ていて雪を浴びたら大怪我をしていたかも知れません。

初めて雪の恐さを垣間見た気がしました。

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