tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

tn23.志村けんさん、人を引き込む魅力をありがとう

タレントの志村けんさんが亡くなったことを今朝知りました。70歳とのこと。お悔やみ申し上げます。新型コロナウイルスに感染し、治療に人工心肺が必要な状態で病院を転院したことをニュースで知っていましたから、心配していましたが、回復に至らず本当に残念です。

 

志村けんさんには、まだまだやりたいこと、やれることがたくさんあったと思います。ダブル主演の映画出演も決まっていました。今回の件で辞退が発表されましたが、新たな挑戦への意気込みは、いかばかりだったでしょう。また、自身の名を冠したテレビ番組も多く、今後も活躍が期待されていた中での訃報。多くの人が悲しむことになりました。

 

私にとって、志村けんさんはドリフターズの『8時だョ!全員集合』の印象が強いです。「東村山音頭」、「最初はグー」、「ヒゲダンス」、「カラスの勝手でしょ~」、「アー、ミー、マー」等々、有名なコントの列挙に暇がありません。中でも、いやりや長介さんとのやりとりは、まだ子どもだった私には痛快でした。学校や家庭、探検隊などにある上下関係や規則を、弱い立場から笑い飛ばす感覚。

真面目でつまらない人間であった私も、(さすがにそれをやっちゃぁ、ダメだろ)と感じながら笑ってましたし、それ見たさにチャンネルを合わしてました。

 

特筆したいのは『8時だョ!全員集合』が、ほとんど生放送だったこと。そのため、突然の停電の中で、ろうそくや懐中電灯を使ってその場を乗り切ったこともありました。徹底したアドリブ排除、シナリオ重視の姿勢で時間をきっちり使う番組作りに、当時は違和感がなかったのですが、今振り返れば驚きです。コント中、観客が「志村、後ろ、後ろ~」と声を発した辺りはその真骨頂と言えそうです。

その手法には賛否もありましたが、何度もテイクを繰り返したり編集されたりする収録番組とは違う味があったと思います。80年代前半、私が高校生だった頃、裏番組『オレたちひょうきん族』が台頭し始め、視聴率も下がっていきますが、コント番組で通算15年6か月継続したのは十分に誇れる数字でしょう。

 

8時だョ!全員集合』後も、「バカ殿シリーズ」、「だいじょうぶだぁ」、「変なおじさん」、「アイーン」などのギャグの他、『天才!志村どうぶつ園』など幅広く活動を続けていました。

 

それにしても、『8時だョ!全員集合』や「バカ殿シリーズ」では、何度も、下品、低俗、やり過ぎ、等の世の批判があったのに、人気が続いていたのは何故でしょうか。

 

これは全くの私見ですが、事の良し悪しはともかく、志村けんさんの人を引き込む魅力にあるように思います。

 

度が過ぎたり、路線がずれたりすることはあっても、観客を笑わせることに一途であったと思うのです。その原点が『8時だョ!全員集合』で、観客を沸かせ続けたことではないでしょうか。ギャグの多くが、大勢の人と一緒に笑顔になれるものだったような気がします。「アイ~ン」などのギャグが真似されやすいこともありますが、なにより他の人と一緒になって楽しんでいた姿が印象的です、

 

東村山音頭」は、合唱団の中で浮いた存在で前に出て、拍手を求め、場を和ませながら、観客と一緒にどんどんテンションをあげていました。

「変なおじさん」も、周りがしらけてる場でやり通し、笑いを誘うまで続けていました。そして、いつのまにか、だれもがそれを真似していくような感じ。

それらが行き過ぎて、PTAなどから批判が出ることもありましたが、そんな時でも、くすっと笑わせるような憎めない感じ。そこには、無邪気に笑って真似をする子どもたちがいて、目くじら立てていた大人が、「けしからん、けしからん、ぷふっ。」と噴き出すような感じ。

ふざけが過ぎるだろうと思う一方で、笑いを取るテクニック。それは、コントでイタズラをしては怒られ、怒られてはちょっとしおらしくなっても、またいたずらを繰り返して笑いを誘うパターンとも共通している気がします。

 

もう一つ、志村けんさんの魅力は、弱い者の味方で在り続けたことではないでしょうか。コントでおばあさんや子どもを演じてバカもやりましたが、どこか、そうした立場の人の不満を代弁していたように思えるのです、

また、コント仲間が逮捕された際も、復帰の応援をし、謹慎が解けたすぐ後に再逮捕になったとき、一度は突き放す発言をするものの、後にエールを送ることもありました。

演出上で、誰かに悪態をつくことはあったでしょうが、公で誰かを批判していた印象はありません。盗難に遭った際にも、「だいじょうぶだあ。」と言ってたような。

各々のドリフメンバーとの不仲説もありましたが、再結集を呼びかけたのは彼だったのこと。

 

もちろん、そうした印象は、私個人の勝手な思い入れの可能性はあります。

でも、少なくない人がそうした印象を持っているようにも思うのです。

 

今回、コロナウイルス感染への危機感が薄らぐ中、コロナ感染によって志村けんさんが亡くなったことで、緩む気持ちを引き締めてくれた感じです。お笑いの方向ではなかったですが、周りの雰囲気を変える力は顕在で、悲しみの中にありながら、どこか、さすがだなぁと思ってしまう私がいます。

 

ドリフ仲間、仲本工事さんの話でも「一番若い志村が長さんの次になるとは、、、。」と悔しがっていましたが、きっと長さんも驚いていると思います。

天国で、いかりや長介さんの前にひょっこり現れて「何やってんだよぉ!」と叱られて「だいじょうぶだぁ」とおどけて返す志村けんさん。そして「だめだ、こりゃ。」と呆れる長さん。

でも、今一度コロナに対して気を引き締めてもらった私たちが、志村けんさんに変わって、「だいじょうぶだぁ」と言えるようにしたいものです。

 

志村けんさん、ありがとうございました。

安らかにお眠りください。

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