tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

遊び8.自転車(3)1日に100km

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時折りに、先輩と二人で自転車で遠くまで出かけることがありました。会ってから、その日の時刻や天気、そして気分で、数km~10km程離れた喫茶店等に行くことが多かったように思います。でも、文化祭直前の敬老の日、朝も早めに出発して、行けるところまで行ってみようということになりました。

 

9月とは言え、まだまだ残暑も厳しく、時に休憩もしながら、ゆっくりめで移動してました。そして、お昼よりまだずいぶん前にT市に到着。でも、まだまだ時間もたっぷりあるので、引き続き北にいくことに。目指すはN市。車の多いバイパスを走ったり、裏道に入ったり。当時はスマホもないので、道を半ば運任せで選んでいたら、思わぬ近道になったことも。あと、ところどころにある、標識、案内地図を頼りに進みました。

 

程なくN駅に到着。自宅から軽く30km位まで来ました。でも、まだ時間はあります。そのままの勢いでN市にあるスカイラインに挑戦しようということになりました。軽い気持ちで次に向かったものの、そこから先はあまり馴染みのない場所。ちょっとした冒険心もあって、普段とはちょっと違うテンションになってたのでしょう。

 

ここからは、googleストリートビューで当時のルートを辿ってみながらの追体験

 

 当時は赤かったつり橋を通り島に渡ります。小学生の時に車で通ったこともあり、橋のインパクトが強く、夏休みの宿題の工作でひごや板、棒などを使って模型を作ったこともある橋です。でも、この橋の坂が予想以上に急だったことにはびっくり。自転車だったからこそ実感できたことでしょうね。加えて、交通量もそこそこあり、おまけに風に吹かれたり、橋の下の景色も目に入ったりで、なかなかにスリリング。競艇場も見えました。わくわくする楽しみと、大丈夫だろうかと言う不安が入混じったのを憶えています。でも、先輩は平気そうだったので、私が臆病なだけかも知れません。

 

 誤算だったのは、橋を渡った後スカイラインまでの距離。当時、頭の中にあるおぼろげな地図では、そんなに長いイメージはなかったのですが、実際に自転車で走ってみると長く感じました。砂浜沿いの道で、海や道の先遠くまで見えたせいかも知れません。ペダルをこいでもこいでも、あまりすすめなかった気がしました。しかし、google map で調べてみたら距離にして6km程。実家から母校の道より短かったとわかりました。

 

スカイラインに行く前に、公園に寄ることにしました。この寄り道もまた誤算。つり橋の坂以上に、きつく長かったです。車の交通量もそこそこありました。でも、自慢の12段変速でしたから、自転車を下りて押すこともなく、一気に進めました。公園についてから、一休み。残暑が厳しかっただけに、風が心地よかった記憶があります。昼食も公園内の食堂だかレストランだかでカレーライスを食べたように思います。

 

いよいよNスカイラインへ。海岸沿いの高さからスタートです。しばらく上り坂が続きますが、それほどきつくは感じません。車の交通量も一般道に比べてかなり少なかったので気持ち的にも楽でした。でもスカイラインと言う割には、山の中を走っていた印象があります。大したことは無いなぁと思っていると、ほどなく下り坂に。そして海が見えてきたと思ったら、橋が見えました。島から出る橋です。あれ?もう終わりなの?こんなに短かったっけ?と思いつつ進んでいると、橋は上り坂になってまだまだ続きそうな雰囲気。車で通った時には、橋を渡る前に展望台があり、橋は下り坂だったはず。ちょっと狐につままれているような感じがしましたが、スカイラインを走っていることは間違いないことと思い、とにかく進みました。

 

その橋を渡ってからの上り坂がきつかったです。自転車の変速を軽くしていたので上れないこともなかったのですが、スピードは出ないし、立ちこぎをしようとして、前輪が浮きそうに思ったこともあったほど。長くきつい坂に二人ともさすがに疲れ、会話らしい会話もできないようになって黙々と自転車を進めます。時間と汗がたっぷり流れて、休憩を取ろうと思っていると、喫茶店がありました。「ひまわり」という店だったと思いますが、googleストリートビューでは見つかりませんでした。ここにあったのかな?という感じの土地は写っていました。

 

身体をずっと動かして汗だくになると、気分が高揚することがあります。所謂「ランナーズハイ(runner's high)」です。そんな感じで、何か自分がとてつもない大きなことに挑戦している特別な人間のような感覚で店に入りました。出された水をがぶ飲みし、すぐ当たり前のようにもう一杯水をもらった気がします。注文したのはアイスコーヒー。でも、この注文は失敗でした。最初からガムシロップが入った状態だったので、予想と全く違った味にびっくりしたのを憶えています。しかもかなりの甘さ。店によってはアイスコーヒーに最初からガムシロップが入っていることがあるのをうっかりしてました。当時は珍しくなかったはず。それでも、全部飲んだと思います。

 

 休憩を終えて、しばらく進むと車で来た記憶のある展望台に着きました。展望台と言うだけあって、なかなかの見晴らしの良さ。島の稜線やその間にたたずむ海など、自転車で来た甲斐があったと思える景色でした。時折に吹く風は公園での風より強く思えましたが、汗だくの身体にはむしろ心地良かったです。

 

そして、展望台を少し越えると、真っすぐに下る橋、そしてその向こうまで続く坂。ここです。車で通ったときの記憶とぴったり重なった感じです。しかし、自転車に乗って見下ろす橋の下り坂は、正直、恐かったです。

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 道幅は車で対抗できる幅があるのですが、かなり細い気がしました。何しろ橋のすぐ下の景色、眼下の海や建物も目に入るので、下りに任せて自転車を加速させると、橋から飛び落ちそうな気がしてなりません。展望台では心地良かった風が、煽られてしまうのではないかと思えてきます。何度もブレーキで減速しながら下りました。それも急ブレーキをかけると反動でひっくり返りそうに思えて、ゆっくりめに、きゅっ、きゅっ、きゅぅ~という感じ。橋のすぐ手前に来るまでは、一気にスピードを出して降りたら今までの最高スピードが出そうなんて思ってましたが、逆に平地よりゆっくりなスピードだったように思います。 ノーブレーキで下っていたら、時速何kmまで出たでしょうね。挑戦していれば憧れの時速60km超えも出せたかも知れませんが、恐さで挑戦しようという気も起きませんでした。角度の違いもあったと思いますが、自転車では上り坂より下り坂の方が圧倒的に怖いと実感しました。

 

車の交通量が少なくてよかったです。橋の手すりに近寄るだけで恐かったですから。え?単に私が臆病なだけ?そうかも知れません。一緒に走っていた先輩にどう思われたかは憶えていませんが、橋を渡った先でずいぶんと待たせていたんじゃないかと思います。

 

橋を渡ってからもしばらく下り坂が続いていましが、「落ちるのでは」という心配をすることもなく進んでいました。幾つかの橋もありましたが、展望台傍の橋に比べるとどうということもありませんでした。島を通り抜けた後も、上ったり下ったりした記憶があるので、国道に出るまでスカイラインを走ったと思います。でも、身体的にも精神的にも、かなり疲れていました。途中、眠気とも戦いながら帰ったのは憶えていますが、どこをどう通ったのか、先輩とどこで別れたかは、よく覚えていません。ただ、帰り着いたのは、まだ真っ暗になる前ではありました。

 

夜、寝る前に地図を引っ張り出し、糸をテープで留めながら、今日一日走ったであろう道に沿って測ってみると、およそ100km程の距離でした。頑張れば、自転車で1日に100km進めたのはちょっとした自信になりました。結局、一度も実現しなかったのですが、数日かけて自転車で遠くへ行ってみようとあれこれ計画を練ったこともありました。また、高校卒業後には、1日で100km程のサイクリングも何度か経験しています。ただ、それくらいでは大きな自慢にもならず、上には上がいるものだなぁと何度も思わされました。でも、私にとっては自転車で1日100kmの経験は、一つの節目になっています。