tn198403s 高校時代blog

「人生に無意味な時間は無い。ただ、その時間の意味を感じることなく生きているだけである。」この言葉を確かめてみようと、徒然なるまま、私の高校時代(1984.03卒業)の意味を振り返り綴るブログです。

tn9.サッカー日本代表 80年代と今

6月15日、トゥーロン国際サッカー大会の決勝戦で、日本がブラジルに大接戦を展開しました。試合は1-1で引き分け、後のPK戦で4-5と惜しくも優勝を逃したのですが、決勝戦で強豪ブラジルに対し堂々とした戦いぶりに驚きました。

トゥーロン大会での日本代表は、東京オリンピック世代を中心に組まれたU22代表のチームです。そして、現在コパ・アメリカ大会も開催され、そこに召集されているU22の主力、久保建英選手などを欠いた上での準優勝でした。

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高校時代、サッカー部員だった私は、顧問の先生に誘われて、日本代表の試合を観に行ったことがありました。地方で日本代表の試合が行われることなど滅多にないことだったので、せっかくの機会だから観て損はないという話だったと思います。

 その頃、まだ日本はサッカーW杯に出たこともないばかりか、サッカーのプロ化やJリーグの話もなかった時代です。オリンピックも長らく出場できておらず、アジアでも強いとは言えない状態。テレビで試合の日本代表の試合中継もまずなかったですから、確かにそれを観られる数少ない機会でした。

しかし、その試合でも日本は終始、自陣に引いて守備を固めていたような印象があります。相手ゴールに攻め込んだのはほんの数回。現在であれば大きなブーイングが起きそうな試合だったと思います。

試合後、顧問の先生から感想を聞かれて、素直に日本が自陣で守備ばかりになっていた印象を話したのですが、先生にがっかりという表情をされたのを憶えています。その表情を(熱くなれる試合が観れずに残念だったな)という意味だと受け取りました。

 

ポジションが守備であった高校時代、サッカーのイメージは「攻めるためには前線が前に出ないといけない。そのためには守備のラインを上げなければいけない。しかし相手から攻撃を受けた場合、守備のラインを上げ過ぎると危険が伴う。だから、守備ラインの高さやポジションの位置取りが重要。それには、まずは失点をしないよう守備固めをして相手を見る。」という感じ。当時のサッカーは、選手のポジションがかなり固定的で、自身の行動範囲も限定されることが多かったと思います。たまに相手からボールを奪った時でも、自分からは攻めずに、近くにいる味方に安全なパスを出すか、前線に広がろうとする味方にロングボールを出すかです。(ただし、私のロングボールは実質ミドルボールぐらいでした。)そして、味方にパスを出せば、大抵の場合、ひとまず自分の役割は終わりという感じ。パスを出した後、すぐもう一回パスをもらえる位置に動くことは、ほとんどなかったです。

当時は試合中の給水は逆に体力を奪うというのが一般的な考えだったので、ハーフタイムの給水こそあったものの、汗かきの私は後半途中にばててしまうことも多かったです。そのため体力を上手く温存し、いかに試合終了までもたせるかも課題の一つになってました。それ故に、不用意に守備ラインを上げることには慎重になってしまうのです。

現代サッカーのような、守備のメンバーであっても、機を見て一気に相手ゴールに迫るという発想はなかったです。もっとも、それができるような体力も持ち合わせていなかったですが。

 

そんな感じだったので、「強い相手には自陣に引いて守備固め」は当たり前のことであり、日本代表でも同じなのだと感じながら観ていたのです。

 

 

しかし、その後日本代表のサッカースタイルは大きく変わりました。DFが前線にロングパスを出した後、ダッシュして攻撃に参加することも珍しくなくなりました。特に鹿島アントラーズの内田選手の見事な走りでオーバーラップしていくスタイルには鳥肌が立つほど驚きました。またロングボールの正確さも、中盤での決定的なパスに劣らぬ相手の脅威になっていました。長友は、サイドバックでありながら攻撃への関わりが多く、ボールの支配率の高い試合では、実質攻撃陣と思えるほど。ガンバ大阪の藤春も相手ゴール付近まで攻め込むことが多かったです。こうした守備からの攻撃参加には迫力がありました。今でも守備のポジション位置が重要なのは変わりませんが、攻めどころをチームで共有して臨機応変に動き、守備陣でさえも攻撃参加できるタイミングを常に計るスタイルは守備固め以上に重要な戦略になっているのではないでしょうか。

 

それを可能にする個人の体力、個々人の判断・発想と共有力、そしてそれを試合中ずっと維持できる組織力。それらの上にあったろう質の高いサッカーの面白さに、高校時代気づけなかったのは残念。いや、率直に言って、私にはそんなプレーは到底無理だったでしょうが、もう少し柔軟なイメージを持つことはできたんじゃないかなあ?くらいは思います。

 

 

 U22とは言え、決勝戦でサッカー王国ブラジル相手に見事1点をもぎ取り、同点に持ち込んだ試合。しかもその1点は、ブラジルにとって今大会で唯一の失点でした。U22日本代表の東京オリンピックでの活躍に期待がかかります。そして、強豪相手に堂々と戦う日本代表の試合を目の当たりにして、今後どんな選手が出てくるのかも楽しみです。

 

この後も、女子W杯にコパ・アメリカと、サッカー日本代表の話題・中継には事欠きません。あらためて日本代表の進化とサッカーの浸透ぶりを強く感じます。