高校時代は、澄んだ音、広がる音だったステレオ放送が好きでNHK-FMをよく聞いていました。おかげでいろんなジャンルの音楽を聴くことができました。「音楽2.シンセサイザー音楽」でも触れましたが、シンセサイザー音楽が聞けたのも、NHK-FMのおかげ。その他にも、クラシックやバロック音楽、映画音楽、ときには、ジャズ、ポピュラーミュージック、フォークソング、民謡、能楽、みんなのうたも聴いていました。いや、BGM的に流すことが多かったので、「聴く」ではなく「聞く」が正しいかも知れません。ただ、オペラだけは、どうにも馴染めず敬遠してたのを憶えています。
NHK-FMをよく聞いていたとはいえ、気になるテレビは見ていましたし、土日にはクラブ活動や遊ぶ約束等で聞けないこともありました。そういう時はカセットテープに録音して、後から聞くことも多かったです。
せっかくのステレオ放送です。カセットテープも「メタル」や「クロム」といった「ノーマル」より質が良いとされる物を使うこともありました。思い込みかも知れませんが、音質的にもノーマルとは、かなり違う気がしてました。パッケージの裏には、録音可能な周波数のグラフが載っていて、その意味もよくわからないのに、いちいち確認してました。グラフは目当てのテープより下のランクの物と比較してあって、当然、目当てのテープのグラフが上位になっているんです。でも、自己満足が充足されるんですよね。(ちょっと値段が高いけど、これだけ性能がいいんだから、まぁ、いいか。)って感じ。下のようなグラフです。
(見よう見まねでグラフを再現。)
その程度の知識・理解で購入していたのは私くらいでしょうかね?他の人は理解した上で選んで購入していたかも知れないです。ここで白状します。私は知ったかぶりで、買ってました。この辺は、パソコンのプロセッサと同様、単純に数値の高いのが良いと感じるのと似ているのでしょう。 まぁ、実際使っていても、数値が高いと良いと感じるのは確かでした。
ただ、値段が高いのです。すぐ「メタル」はあきらめ「クロム」になりました。メーカーはほとんどTDKです。「クロム」のランクは、時に奮発して高級なSA-Xも買うこともありましたが、SAが多め。しかし、「クロム」でも、やっぱり値段は高かったです。それで、一度録音したテープに重ね録りをすることも増えていきました。そうすると、せっかくのステレオ放送の音質も、クロムテープの良さも失われてしまうように感じました。いや、それ以前にFMラジオのステレオ放送で「クロム」を使うことが、もったいないことだったかも。(もっとも、レコードの録音で使うこともありましたよ。)やがて、重ね録音するくらいなら、ノーマルで良いと考え始め、結局は、ADの90分テープが主流になっていきました。そう言えば、重ね録りする際、上書き防止の爪を折った穴があるのをセロハンテープで塞ぐ時、一抹の寂しさを感じたこともありましたね。一体どれだけの曲やアナウンスを自ら抹殺したことやら。
NHK-FMでは「FMクラシック・アワー」、「リクエストアワー」等、2時間、3時間の番組もあり、本当は120分の物の方が便利なのですが、テープが絡まってしまった経験も幾度かあって、90分の物を多く使ってました。番組中のナレーションの間を利用して、テープを入れ替えます。それでも、クラシック音楽では45分を超える音楽もあったので、最後の方が録音できないという悔しい思いをしたこともありました。
また、ローカルの「リクエストアワー」は土曜日の午後の放送だったので、一番聞きたい時間を見計らって、タイマーをセットしておいて、帰宅後、録音されている45分ほどだけを聞くこともありました。でも、何といっても生放送ですから、思わぬ時間のずれで聞きたいところの録り逃しも珍しくなかったです。こちらは、一回聞くと、重ね録りをして使いまわしていました。
ところで、当時のTDKは、カセットテープのビニル包装にポイント?点数?がついていて、集めると景品がもらえました。私の狙いはコルクボードでした。残念ながら 手に入れていた物は、処分してしまったようです。ただ、ネット検索すると写真を発見。それを元にイラストにしてみました。こんな感じ。
まあ、そんな理由もあって、TDKのテープばかり買っていたのです。他にもカセットテープの収納ケースももらったように思います。
でも、それらのテープは20世紀の終わり頃、高校卒業後に録音したもの含めて、ほぼ全部処分してしまいました。働き始めて数年後のことです。一人暮らしの際にも結構聞いていたのですが、聞いている内にテープが伸びたり、切れたりしたこともあります。車の運転中に聞いていたのもあって、いい加減な保存だったことも一因でしょう。どれもが録音して10年以上経っていましたから無理もありません。デッキも帯電等でノイズは大きくなったし、場所もとるし、替わってCDを使う機会が増えていった等、捨てる際の理由付けは様々あります。
ただ、何度も繰り返し聞いていたことで、一部の記憶が風化せずに残っていることは、収穫だったと思うのです。