教師を目指して、母校に教育実習に来た先生が何人かいました。その中の一人は、確か歴史の先生を目指していた男性。授業で何を教えてもらったのかは覚えていないのですが、授業をしていて時間が余ったらどうしたらいいかという話があったのは覚えています。
「君たちは早く終わったらいいと思うかも知れないけど、他の先生は授業しているのに、あんまり早く終わるのは良くないと思う。」というような話のあと、友だちから教えてもらったというパズル的な話を始めました。パズルが好きな私は、授業より興味を持って聞いていました。
将棋の桂馬の動きが八方向にできる八方桂(チェスの駒、ナイトと同じ)で、8×8のマス目を1から順に埋めていって、64マス全部を埋められるかというもの。でも、具体的にルール説明をした段階で時間がきてしまい、最後に「60を超えられたらすごい」と言うだけ言ってその時間はお終いになったように思います。
ルールは比較的簡単。
スタートの「1」は、どのマスから始めてもいいですが、あとは八方桂の動き方で進めます。適当にやっていると、そう簡単に60は超えられませんでした。とは言え、運?勘?が良ければ、そこそこの数字までは行けることも多いです。
後日、実習の先生から、他のクラスで最後まで行けた人がいると聞いたように思います。それで、自分も何とかやってやろうと躍起になり、あれこれやってみた結果、なんとか64まで行けました。とはいえ答えは何通りもあり、ここに紹介するのはほんの一例の途中(1~32)まで。マウスを使っての手書き文字で見にくいのは、ご愛嬌。
結局、先生から答えは教えてもらえなかったと思います。でも、そのおかげで、あれこれ考えることとなり、今でも憶えているのでしょう。
そもそも、歴史の授業での雑談だったので、詳しい話はありません。でも、ひょんなところから、八方桂に強く興味を持ってしまい、しばらくの間、帰宅後も八方桂で遊んでいました。以下は、その時のあれこれ考えた内容です。興味ある方はどうぞ。
※ちなみに私はずっと八方桂パズルと呼んでいましたが、調べてみると「Knight's tour(ナイトツアー)」と言うようです。和名には「騎士の巡歴」、「桂馬拾い」がつ使われているようです。
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こういう問題は、まず問題を簡単なものにして、やり方やコツをつかむのが私の常套手段。2×2のマスではどうやっても進みようがありません。そこで3×3のマスを考えてみました。そうすると、真ん中のマス以外のどこに1を入れても、続く2は2通りしかありません。2を決めてやると、あとは一本道のごとく8まで続いて手詰まりです。
(a)1を角に入れた場合は、次の2通り。
(b)1を辺に入れた場合は次の2通り
3×3マスの場合は、どのマスも(a)または(b)を回転させた形になるので移動の仕方は同じ。つまり、真ん中のマスを除けば、一見複雑な八方桂も、単純な円環を移動するだけだとわかります。
分かりやすくするために、周囲の8マスにアルファベットA~Hを振ります。次に、Aから移動できるのは、EまたはGです。Eから移動できるのは、FまたはAです。そうやって考えていくと、下図の右側の円環になります。
こう見れば、真ん中のマス以外から始めると一筆書きで周囲のマスすべてを辿れることが一目でわかると思います。見方によれば、3×3の移動は1通りとも言えます。
では、「3×4のマスではどうなるのだろう?」と思ったところから、ずぶずぶと思考の沼にはまり込んでしまうことになってしまいました。
※「遊び7.八方桂(ナイトツアー)(2)」に続く。