私が高校時代は、既にすっかり定着していたバレンタインデーに、新たな潮流が生まれ始めた頃です。と、まあ、そんな大げさな書き方をするほどのことではなく、俗にいう「義理チョコ」が登場し始めた頃となるでしょうか。
まだ、男子の中では「義理チョコをもらっても、そんなに喜べない。」とか「どう反応したらいいのかわからん。」「義理チョコを渡そうと思う気持ちは何やろうね。」等々の話が出てました、女子の間でも「感謝の気持ち」、「もらえないのも、かわいそうだし。」「義理チョコでも上手く行けば・・・」、なんて話があったような気がします。
そんな状況だっただけに、なおのこと、男子は「バレンタインデーにチョコをもらったら「これって本命?」と聞くべきかどうか、また、女子は渡す時に「本命です。」「義理チョコです。」と言った方が良いのかどうかなど、憶測が憶測を呼んでたように思います。
もっとも、その後のバブル景気に沸く頃になってくると、いつの間にか「義理チョコ」くらいはもらって当然みたいな風潮にっていき、やがて、義理チョコ禁止論も出るようになっていくのですが、高校時代は「義理チョコ」を「もらうべき vs 断るべき」の静かな論争?がありましたね。
静かな論争に「?」がつくのは、「義理なら、もらわない。」と言いながら、チョコを渡された時に、もらわなかったという男子の話を聞いたことがないからです。また、女子の方でも、明らかな義理チョコを面と向かって渡すことへの抵抗?気遣い?があったのか、さりげなく渡すのに苦労していたのではないでしょうか。今思えば、やはり、良くも悪くも、青春だったのでしょう。
当時の言葉で「ネクラ」に分類されていたであろう私は、バレンタインチョコには縁がありません。青春期入口にあって、バレンタインチョコに興味がなかったとは言いませんが、もらえるかもと、ソワソワすることもなかったように思います。(端から見て、そう見えてなかった可能性はあります。何と言っても青春期ですからーー。)
何にせよ、義理チョコの期待もしてなかったので、靴箱に銀紙に包まれた小さなチョコが置かれていたのには、びっくりしましたし、嬉しくもありました。他の男子にも置いていたので、その数は結構なものになったはずです。500円がちょっとした金額だった頃ですから、その思いつきと思い切った行動に、(こんな渡し方もあるんだ)と、ちょっとした感動もありました。
「誰がしたんだろう?」と考えるのは野暮に思えて、詮索も、お礼もせずにいたように思うのですが、記憶違いかなあ?
この場を借りて、こっそり「ありがとう。」を置いておきます。